SS バレンタイン大作戦!②
「すずはどうして、チョコレートケーキにしたの?」
「えーっとね、定番のクッキーとかも考えたんだけどね?やっぱり私のことを意識してもらうには定番じゃダメかな、と思って。」
だから、意外性もあって時間を込められるやつにしたの、と言う鈴音。
そこで、僅かな違和感を夏奈は抱いた。
「さっきから聞いてて引っかかってたんだけどさ?時間をかけたないと相手へ気持ちを込められないと思ってない?」
「え、うん。だってそうじゃない?」
なにか間違いでも?というふうに首を傾げる鈴音。
そんな鈴音にため息を一つついて、夏奈は語り始めた。
「確かに時間をかけたら、相手への思いをたくさん込めたってことになるっていう考え方はわかるよ。でもそれだけが気持ちを込める方法ではないよね?」
「え?どういうこと?」
「もし相手のことが好きならさ、時間をかけなくても、相手への気持ちを最大限に込められるものじゃないかな?だって――」
一度言葉を切ってから、夏奈は言った。
「相手のことをずっと考えながら作ったら、時間の長さに関係なく相手への思いで密度100%になるから。だから、大事なことは相手のことをどれだけ考えながら作れるかっていうことなんだよ。」
「――うん。そうだね。夏奈ちゃんの言うとおりだ。」
夏奈ちゃんはかっこいいこと言うなぁと言っている鈴音を見ながら、夏奈は顔を赤らめる。
私こんなことをカッコつけて言うタイプじゃないのに!
そう考えながら恥ずかしさにフルフルと悶えていた夏奈だった。
◇◇◇
「じゃあ、これを作るってことでいいの?」
「うん!」
「はぁ。わかったわ。まあ、これなら多分時間をかけずに簡単に作れるのかし……ら?」
鈴音は時間を掛ける必要はない、という意見には納得して受け入れたが、テンプレでもいいという夏奈の意見を受け入れることはなかった。
だから、この時間がないときに、奇抜なバレンタインのプレゼントを作らないという状況になってしまっていた。
結局、スマホで『簡単に作れて特別感のあるバレンタインチョコ』と検索ボックスに入れて調べて、一番最初に出てくるものを選んだ。
「じゃあ、時間もないのだし、材料を買いに行きましょうか。」
「うん、ってついてきてくれるの?」
ニッコリと微笑みながらうなずいた後、どこかに引っかかったように首を傾げる鈴音。
「えぇ、そのつもりだけど…」
「でも、夏奈ちゃんも自分のバレンタインの準備があるんじゃないの?ほら、前にあの人のことが気になってるって言ってたじゃん?えーっと、名前は〜」
「それ以上は言うなぁ!もし誰かに聞かれたらどうするの、せめて言うなら声のボリューム下げてくれない⁉」
「うぅ…ごめんなさい…」
私の好きな人の名前を平気に言おうとする鈴音に軽くチョップした。
「はいはい、じゃあ行こっか?」
「うん!」
そんなこんなで、私達はデパートに材料を買いに行った後、鈴音の家で、急ピッチで明日すずが健太くんに上げる用のバレンタインのお菓子を作ることにした。
板チョコ
純ココア
顆粒状インスタントコーヒー
バニラエッセンス
ホイップクリーム
以上買ってきたものである。
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はい、昨日のうちに出せませんでした。
ということで、今日からしばらくSSが続くことになりそうです。
みなさんももらったチョコレートの残り香をかぎながら楽しんでいただけたら嬉しいです!
あと、ふたりがこれから何を作るか考えてみてくだい!
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