第75話 全然怖くないし
「すず、おはよう」
「おはよ、、、どうしたのそのクマ?」
「いや、別になんでもないよ?」
「?それならいいんだけど、、、」
昨日の夜は今日のことを考えてしまい、結局一時間くらいしか眠れなかった。
何も知らないすずが心配してくれるのに対して苦笑いで応じる。
誰のせいだと思ってるのか、全く。
心のなかでツッコむ。
まぁ、こういうちょっと鈍い感じのすずを好きになってしまったのだが、
「じゃあ、いこっか」
「うん!最初はどこ行こっかなぁ?」
楽しそうにこちらを見つめてくるすず。
そんなすずを見ているうちに、俺の中の悩みがすっと消えていった。
このままの状態で一日過ごすのはすずに失礼だ。
心配事は心の奥底に閉まって、目一杯楽しもう。
そう考えて、俺とすずは文化祭のパンフレットを一緒にのぞきこんだ。
◇◇◇
「ねぇ、ほんとに行くの?」
「もちろん。どうしたの?ここまで来て怖くなったの?」
「ち、違うもん!私は全然余裕だよ!」
「そう?足が震えてる気がするんだけど?」
「ぅぅ、、、健太くんのバカ!」
今並んでいるのはお化け屋敷だ。
ここに並んでいる理由を理解するためには5分前に遡る。
◇◇◇
とりあえずブラブラ歩こうか、ということでぶらぶら二人で歩き始めてしばらく立った頃、お化け屋敷にたくさん人が並んでいた。
それを見て、昨日翔太がメッセージアプリで
「おばけ屋敷があるんやけど、あれ、めっさ怖かったわ!チビるかと思ったで」
といっていたことを思い出す。
だから、なんの気なしに
「ここのお化け屋敷、割と怖いらしいよ」
とすずに言った。
すると、今まで楽しそうで柔らかい表情を浮かべていた彼女の表情が一瞬にして強張る。
一体どうしたのだろうと思っていると、
「へ、へ〜健太くん行きたいの?私はやめたほうがいいと思うけどな〜」
と言ってくる。額がなぜか汗ばんでいる。
もしかしてと思い、更に言葉を続ける。
「なんで?まさか怖いの?それならやめと、、、」
「全然⁉全然怖くないし?余裕だもん‼」
目を泳がせながら大声でお化け屋敷なんて怖くないと豪語するすず。
こうしてなんやかんやしているうちに、列に並んでしまっていたのであった―――
◇◇◇
「次の方お入りください」
「うぅ…はい…」
並んでいるうちに怖気づいてしまったすずはさっきまでの勢いはどこに行ったんだとツッコミたくなるくらいトボトボとお化け屋敷に入っていく。
その様子が面白くて俺は一緒に入りながら笑いを噛み殺すのに精一杯だった。
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毎日投稿四日目!
……って言いたかったんですけど、昨日は使っているパソコンがどこに行ったかわからなくて更新できませんでした‼ごめんなさい!
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