第74話 文化祭一日目
「いらっしゃいませー!」
「ご注文はお決まりですか?」
「ご注文された商品でございます!」
「ありがとうございました‼」
12時を超えた頃、うちの喫茶は客足がピークに達した。
「これ、3番席のお客さんに持っていって‼」
「おっけ」
厨房ですずからホットサンドを渡される。
すずが調理して、俺がテーブルに持っていく。
―――これってまるで夫婦みたいじゃないか……?
なんて思う暇もなく、次の注文が入る。
―――これ、野球部の練習よりもきついかも……
お客さんにも気を使わないといけないし、丁寧に商品を運ばないといけない。
おまけに忙しいので他に何かを考える余裕はなかった。
――無論すずと一緒に働いているということを意識しなくていいという点では良かったのかもしれないが。
◇◇◇
客足がようやく落ち着いた頃。
見覚えのある人達が客としてやってきた。
「健太ー。冷やかしに来てやったぞー!」
「健太がかしこまって接客してる姿、見てみたかったんだよねー」
「そんな不純な目的で来んなよ、、、」
裕太と貴司だった。
「で?香川さんと進展あったの?」
「残念ながら、今日は忙しすぎて何も起こらなかったよ。」
「なんだー。こっちはアオハルしてなかったかー。」
裕太が残念そうにつぶやく。
しかし俺は反応せずにはいられなかった
「こっちはってどういう事?」
「あー実はね、、、さっき……が……さんに連行されてね」
「今頃二人でどっかで楽しんでると思うよ」
「へえ……さんって……のこと狙ってたのか。全然気づかなかったな」
「ね」
「ああ見えて自分の中に気持ちを秘めてたのかもな」
「人って見かけによらないものだな」
あの二人がもし結ばれたら。
きっと楽しい未来があるのだろう。
そう思いながら、みんなでニヤニヤしながら話していた。
◇◇◇
一日目は大成功に終わった。
クラス委員長によると、全校で見てもトップ3に入るほどの売上だったらしい。
それを聞いて裕太が「もしメイド喫茶だったらトップだったのに、、、」と言っていて、男子達がそれに激しく同意していた。
その後、家に帰った俺は夜ご飯を食べて明日に備えるために早めに寝ることにした。
ベッドの中に入って目を瞑る。
いよいよ明日は文化祭二日目。
運命の日だ。
―――その後、昨日にもまして寝付けなかったことは言うまでもない。________________________________________________________________________________________
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