第73話 文化祭開幕
「城北祭の開幕をここに宣言します!」
文化祭実行委員長の人のオープニングでの挨拶とともに、城北高校の文化祭・城北祭が始まった。
昨日はあらゆることに興奮して横になってからもなかなか寝付けなかった。
みんなと力を合わせるクラスパートへの期待だったり。
自分の責任を無事果たせるかという緊張だったり。
すずとの間に色々あったのに、告白できる状況を整えてくれたみんなへの感謝だったり。
ちゃんと告白できるかという不安だったり。
そして最後に、すずと一緒に笑い会えるようになりたいという羨望だったり。
色んな気持ちが交差して眠気が遠ざかっていったのだ。
結局、ハムスターがひまわりの種をかじっている動画を見て心を強制的に落ち着かせて寝たのだが、一度寝た今でもこの様々な感情が入り混じっている。
まあ、今緊張してもしょうがない。
まず今日はクラスパートに集中する。
すずへの告白については、また明日考えればいい。
そう思っていたのに、、、
「すずってクラスパートの担当今日じゃなかったよね?なんでいるの?」
「夏奈ちゃんに変わってもらったんだー」
「…」
話が違うじゃねえかぁぁぁぁぁぁぁぁ⁉
今日はすずと過ごさないことで心を落ち着かせようとしてたのに、、、
接客しながら思わず頭を抱えているところに、客として森山さんがやってきた。
「ちゃんと仕事してますかー?」
「いやしてるんだけどさ、、、なんでパート担当の日変えたんだよ!」
「え?だめだった?」
「ダメじゃないけど、、、落ち着かないんだよね」
森山さんには明日すずに告白することは事前に言ってある。
そのことを意識して緊張しているんだ、と非難めいた視線を送る。
しかし本人はどこ吹く風といった様子で、んーと唸った後、
「でもそれだとすずへの告白慌ただしくなるんじゃない?それだと困るでしょ?」
といった。
俺はそこでようやく、森山さんの意図を理解した。
「まさか俺が告白しやすくなるためだけのためにすずと変わってくれたの?」
すると森山さんは目を泳がせながら、
「そ、そうだよ?ほんとに感謝してよね!」
と話す。
その挙動不審な様子に、それだけが理由じゃないんだな、と察してしまったが、ここは大人しく
「ありがとう」
と伝えておいた。
すると森山さんが、
「さあさあ!私の接客なんていいからすずを今から誘っておいで‼」
と言って俺をおい返した。
だから他の人に接客を変わってもらって、厨房にいるすずのところに向かった。
◇◇◇
「すず」
「ん?どうしたのー?」
厨房でコーヒー(もちろんインスタントの)を入れていたすずがこちらを振り向く。
すずは料理中だからか髪をひとつ結びにしていて、いつもと違うすずにドキッとしてしまう。
でもそれを悟られないように、ポーカーフェースを装いながら、俺は口を開いた。
「あしたお互いにフリーだからさ、一緒に文化祭回らない?」
「本当に?嬉しい!」
この瞬間、健太と鈴音は心の中でまったく同じ言葉を叫んだ。
(やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!
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毎日投稿二日目!
まだまだ頑張るぞー‼
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