第71話 いざ文化祭へ
その後野球部が二回戦で負けたこと以外は特筆することなく日付が進んだ。
(ちなみに二回戦は裕太が球数制限で投げられなかったので、俺が投げたのだが、大炎上しコールド負けしてしまった。でも俺がダメなんじゃない。裕太がすごいだけなんだ。うん。)
そしていよいよ文化祭が明日に迫って来ている。
俺は楽しみな半面、少し緊張していた。
なぜなら、すずに告白することになっているから―――
文化祭は二日間に渡って開催される。
ただ俺は一日目にクラスパートの仕事があるので、できれば一日目にすずに告白したいと考えていた。
しかしここで問題が発生する。
すずは二日目にクラスパートを担当するのだ。
おそらく一緒に文化祭を回ることはできない。
告白するタイミングは、一瞬あるかどうかなのだ。
仕方がないことだとわかっているのだが、二人でしっかり向き合って告白できる時間が少ないのはどうなんだろうか、と少しモヤッとしながら、クラスパートの準備をしている。
ふとすずの方に目をむける。
すずはクラスメートと一生懸命看板を作っていた。
あの日以降、クラスの人気者ムーブを崩れてしまっていた時期もあったが、今は完全とまでは言わないまでも立ち直っている。
それでも俺と話すときには、ふと表情に翳りが見えることがある。
自分が招いたこととはいえども、それを見ているのは辛いし、どうにもできなかった自分に歯がゆさを覚えたことが幾度となくあった。
自分の無力さを思い知って、悩んで眠れない夜もあった。
傲慢かもしれないけど、きっとその悩みも明日には終わるだろうと、俺は確信している。
明日少ない時間でもしっかりと向き合って、ちゃんと自分の気持ちを伝えよう。
そうやって、自分に言い聞かせた。
俺も自分の仕事に戻るかな、と目を手元のポスターに向けようとしたその時。
ふとすずと目があった。
俺の視線は金縛りにあったように動かせなくなる。
すずがふわりと笑う。
それだけで俺の顔が耳の端まで赤く染まっていくのがわかったので、どうにか視線を外す。
以前まではそんなことはなかったのだが、孝則さんにすずと付き合うどころか結婚する許可までされて意識しているのかもしれない。
(そりゃあまあ、すずとなら一生幸せに暮らせるかもしれないけど?その、、、結婚するってなったら学生の身分ではやりにくいこともできるようになるだろうし、、、でもそういうことは無理やりとかじゃなくて双方の合意があってからだから、あんまり意識しすぎるのも良くないよなぁ)
そんなことをおもっていると、ある声が聞こえた。
「すずー!」
「ん?どうしたの夏奈ちゃん?」
「あのね!ちょっとお願いがあるんだけど、いい?」
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第71話読んでいただいてありがとうございます!
更新予定日を20(木)の12:00にすると言っていたのに、完全に忘れていて遅れてしまいました。
すいません、、、
この話をもってこのシリーズは10万字を超えました。
これでいろんなコンクールに出せる!
ってなわけでハートをくれたら励みになるのでください。よろしくおねがいします!
次回は10月24日(月)に投稿予定です!
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