第67話 トラブル
結局四人で見に行くこととなったその試合は、とても白熱していた。
電光掲示板には7−6というスコアが刻まれている。
ペンギンズが一点を追うシチュエーションで九回裏が始まった。
守護神と呼ばれる相手の抑え投手に対してツーアウトになりながらも、ランナーを三塁に置いた。
ここでバッターはペンギンズの助っ人外国人で4番のアントニー。
初球だった。
バチーン!
強烈なあたりは、低い弾道でぐんぐん伸びていって、レフトスタンドに突き刺さった。
逆転サヨナラツーランホームラン。
この瞬間球場が沸き返ったのを香川家のテレビが映し出していた。
「よっしゃーーーーー!優勝やぁぁぁ!」
鈴音の父であり30年以上ペンギンズのファンを続けている、香川孝則は右手に持っている生ビールをこぼすくらいの勢いで拳を高く突き上げた。
しかし、球場では、テレビには映らないところで一悶着起きていた。
◇◇◇
バチーン!
その音が聞いた瞬間俺たちを含むペンギンズの応援席に座った人たちが総立ちになった。
打球がスタンドに届いたのを確認すると、みんなで手を取り合って喜んだ。
19年ぶりのリーグ優勝。
俺たちに関してはその時はまだ生まれてもなかったので、とても不思議な気分だった。
選手がマウンドに集まるのを見て、感動して涙が出た。
―――いや、出そうになったその時だった。
「なんだぁしょうもねぇなぁ!こんなしょーもないチームが優勝して何になるんや!ほんまきしょいわぁ‼」
ペンギンズの応援席に座っていた一人の男の人が急に叫び始めたのだ。
基本的にここはペンギンズのファンだけが座っている座席だったので、みんな驚いたようにその人を見る。
そして俺も、その例に漏れずにその人を見た。
右手には、球場で買ったと思われる生ビールのコップを一つ持っている。
しかしその人の左手を見ると、飲み終わった生ビールのコップが4つ重なっていた。
きっとお酒が回った相手ファンの人なんだろうな。
そうとりとめもなく考えながらその人の顔を見る。
そして次の瞬間息をするのを忘れてしまうくらいの驚きが俺を襲った。
この人―――確か、、、
俺の記憶が間違っていなかったら、、、
あの日、すずのことを襲った犯人じゃないか⁉
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7万PVを突破しました!
ここまで来たなら10万は行きたい、、、!
あと前回のあとがきで福岡ソフトバンクホークスがM2って書いたのですが、その後優勝を逃してしまいました。
泣きそうです、、、
@goro_san_48
もしホークスファンの方がいらっしゃったら一緒に悲しみを共有しましょ、はい。
次回更新は未定です。
多分日曜日とかになるんじゃないかな?
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