第64話 一夜明けて
翌朝。
地元の新聞のスポーツ欄には、大きく
「城北高校 劇的サヨナラ」
と大きく見出しが付けられ、その下には、「約10年ぶり勝利に観客感極まる」と付け足されていた。
いやいやいくらなんでも負けすぎだろ、というツッコミを入れたくなったが、以前にBIGBRIDGEからそんな感じのことを聞いていたことを思い出し、そのツッコミは心のなかに留めておくことにした。
ただ、打球の勢いががそんなに良くないこともあって、新聞には「九番、森下のタイムリーによって帰ってくる二塁走者」という言葉とともに、二塁ランナーだった先輩がホーム生還している写真が乗っていた。
欲を言えば俺のスイングの瞬間の写真を載せてほしかったのだが、まあつぎはちゃんとしたヒットを打てということかな、と思いつつ俺は新聞を閉じた。
するとまるで測ったかのようなタイミングで、俺のスマホがブルッと震えた。
気になってみてみると、
『おめでとう!試合勝てたんだね!』
とすずからのLINUが来ていた。
だから、俺も直ぐに返信を返す。
『ギリギリだったけどね。どうにか勝てて良かったよ‼これで部活も続けられるしね』
君にも告白できる、流石にそれを彼女に送るのは無粋なような気がしてやめた。
『ヒットも打ってほんとすごいよ‼』
『ありがとう。ニュースで見たの?それとも新聞?』
俺がヒットを打ったことも知ってくれてたのか。
そう思いながら、口角が上がるのを我慢していると、
『ううん!昨日スタジアムで見てたんだよー』
と、メッセージが返ってきた。
はて、昨日は試合がない人は学校があったはずなんだけどな?
送られてきたメッセージに首を傾げていると、さらにもう一つメッセージが表示される。
『実は昨日、学校をサボりまして野球部の試合を見に行きました、、、』
『え!そうなの?大丈夫だったの?』
『学校には腹痛って言って、お父さんには本当のこと言ったら行かせてくれたんだー』
『まじか』
そこまでやり取りをして、ふと昨日の試合中を思い出す。
俺がヒットを打つ前に「いけーーーーーっ!」という声を聞いたのだ。
『もしかして、俺が打つ前になんか叫んだ?」
『聞こえてた⁉何を叫んだかは覚えてないんだけど気づいたら叫んでたみたい』
気づいたらってなんだよと心のなかでツッコミを入れる。
まあ、白熱した試合だったし、夢中になるのも無理はない。
ふと時計を見ると、時計の針は7時10分を指していた。
もう学校に行く時間だ。
『じゃあまた学校で』
『うん、またねー』
さて、学校行くか!
そう思ってタンスに手を伸ばそうとした瞬間スマホがもう一回ブルっと震えた。
今度は誰だろう、と思ってみるとロック画面のバナーに
SUZU:昨日の健太くんむちゃくちゃかっこよかったよ!
と出ていた。
不意打ちで褒められて、自分の顔が赤くなっていくのがわかる。
でも、トーク画面を開けると、
「SUZUがメッセージの送信を取り消しました。」
と表示されていた。
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送った瞬間取り消しってよくやるよね、、、?
星が200行きそうなので、まだつけていない方はつけてくれたら嬉しいです!
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