第54話 文化祭のクラスパート決め①
「今日は文化祭のクラスパートについて決めるぞー。クラス委員の人は出てきてくれ」
9月のある日の放課後、先生はそう高らかに宣言したかと思うと、職員室に帰ってしまった。生徒に大事なところは任せるというところだろうか。まぁ、無責任と言えばそれまでなのだが、先生が生徒から人気である理由はそこにあったりする。
城北高校の文化祭、「城北祭」は毎年11月に開催されて、校内だけでなく一般の人もやってくる大きなイベントらしい。
そして他の学校と同じように各クラスが出し物をするらしい。
文化祭の出し物といえば、ラノベとかによく出てくる"あれ"だよな、と思っていると、裕太が勢いよく手を上げて
「メイド喫茶がいいと思います!」
と言い切った。それと同時に男子からは大きな拍手が沸き起こる。みんな考えていることは一緒だということかもしれない。
これはもう決まりかな、と思っていると、森山さんが不服そうに声を出す。
「えー!私は反対だよ!普通にコスプレしたくないし」
、、、普通こういうのって陽キャが率先してやりたがるんじゃないのか?そう一瞬思ったが前に森山さんと会った時に、
「私すずに比べてスタイル良くないから、コスプレみたいなやつ全部したくないんだよねー」
と言っていた気がする。
多分すずのスタイルが良すぎるんだと思うよと言おうとしたけれど、その時にすずの一糸纏わぬ姿を想像しそうになって結局なにも言えなかった。ただ、それだけ本人は本気でそのことをコンプレックスに感じているのだろう。
その罪多き人の方をチラッとみると、おれのことをじっと見ていた。そしておれの視線に気づくと慌てて顔を逸らされてしまった。
そして、おれにだけ聞こえる小さな声で
「健太君は私のメイド服姿見てみたいと思ってる?」
と聞いてきた。
ただし、メイドに対しておれはなんの興味もないからおれがすずのメイド服姿を見たいなんてことは断じてない。
「とても見たいです!」
「ちょっと!声大きいから!!静かにしてよ!」
、、、はずだったのだが、おれは見たいと口走ってしまった。
まぁ、撤回するのも勿体無いし、そのままにしておくと、すずはホームルームが終わるまでずっと顔を真っ赤にして唸っていた。
かわいい。
思わずそう思ってしまった。
すずを振っておいてどういうことだと、他の人には思われるかもしれないし、そう思う資格もないのかもしれない。
でも、おれは今度の試合でヒットを打って告白するために人一倍努力している。
過去の辛いことを包み込むくらいいい未来を作ってみせる。
そう思うと後悔なんて全くなかった。
ちなみに話し合いの結果はというと、森山さんの圧力に押されてメイド無し喫茶になった。
決まった時、裕太は膝から崩れ落ちながら
「ちくしょう!来年はそうさせないからな!」
と叫んで、クラスのみんなの笑いを誘っていた。
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5万pv達成しました!
しかも7月だけでpvが1万突破しました!
本当に感謝です!ありがとうございます!凄く嬉しいです!
これからも暑さにやられない程度に頑張ります!
みなさんも暑さには気をつけてくださいねー!
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