第52話 好きの反対
―森山夏奈視点―
すずはあの一件から明らかに元気がない。
その原因がストーカーに襲われたからか、健太くんに振られたからかのどちらかというのは、火を見るより明らかだった。
なぜなら、最近すずが健太くんを見るときの表情と言ったら、自らの内側からの欲望をギュッと抑えている感じの表情をしているから。
はっきり言って、友達として、見ていられない。
だから意を決してすずをご飯に誘ってみることにした。
この際、お互いに腹を割って話すために。
◇◇◇
今、私はすずのおすすめのハンバーガー屋さんに来ている。来ているのだが、
「どれにしよっかな―!夏奈ちゃんはどれにするの?」
目の前にいるすずは、私が心配しているのが嘘のように明るい。
学校ではこれでもクールキャラのはずなのだが、、、私の前では素が出てしまうのだろうか。
それだけ、今のすずは明るいのだ。
「すずはこのレストラン今まで誰かと来たことあるの?」
「、、、、、、、、、、健太くんと期末が終わってから来たことがあるよ。」
ただし、健太くん関連じゃない限り。
そう。健太くんが近くにいたり、健太くんの話が出たりするとこうなってしまうのだ。
よし!私がすずを救って見せる!
◇◇◇
ハンバーガーを頼んで、商品が来るまでは、適当なことを話し、商品が来てから本題を切り出した。
「最近すずって健太くんのことを避けてるよね?なんで避けるの?」
肩をビクッと震わすすず。
そして弱々しく言葉を絞り出す。
「大体察してるくせに、なんでそんな事言うの?私の傷口に塩を塗りたいの?」
「ん?健太くんに勢い余って告白して振られたことを気にしてんの?」
「やっぱり察してるじゃないの。」
すずが恨めしそうに私のことを見てくる。
それに構わず私は、話し続ける。
「で、一回告白して、振られただけで諦めるんだ。」
「諦める、、、?」
「そうだよ。本当に好きなら、何回もアタックして、相手に意識させるんだよ!」
「でも、気まずくて、とてもじゃないけど健太くんと話せないよぉ」
「最初は話せなくてもいい。誰だって、振られたあとなんて気まずいよ。でもね、健太くんを避けてちゃダメ。そんな事してたら、何も始まらないよ。」
はっと、目を見開くすず。でもすぐに
「次告白したら、OKしてくれるのかなぁ。もう嫌われちゃったりしてないかなぁ」
と不安げに瞳を揺らしながら、私に尋ねてくる。
それに対する答えなんて、一つしかない。
「そんなのわかるわけ無いじゃん。」
「、、、」
「告白して成功するかどうかは私じゃなくて、健太くんが決めること。でもね、、、」
一度言葉を区切って、私はすずに告げる。
「少なくとも嫌われてはないと思うよ。だって、『好きの反対は無関心』っていうでしょ!」
しばらくしたあと、小さい声で、しかし力強くすずは
「私もう一回頑張ってみるね!」
と呟いた。
その顔は何かが吹っ切れた顔をしていた。
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