気遣い・頭脳戦編

第49話

「ハーッ」


 翌日。部活で素振りをしていた俺は、部活の間だけで何度目かわからないため息をついた。


 昨日のこと―――鈴音が襲われたことや俺がすずからの告白を断ったこと―――は昨日のうちに森山さんに電話で報告しておいた。


 森山さんは静かに聞いた後、俺に「健太くんは悪くないし、気にしなくていいからね」と声をかけてくれた。


 でも、その声の中には、幼馴染のすずに怖い気持ちをさせてしまったという無念も含まれていて、森山さんが優しいということを実感すると同時に、とてもやるせなくなった。


 その気持ちは一日たった今日でも晴れることはなく、むしろどんどん自分のした行動の責任の重さに押しつぶされそうになっていた。

             ◇◇◇

「健太。ちょっと遊んで帰ろうぜ!」

 部活帰り。


 裕太と翔太が声をかけてきた。

「ごめん。今そんな気分じゃないから。俺帰るね。」

 いつもなら断る理由なんてないし、喜んでいくような誘いだったが、今の俺には全く魅力的に聞こえなかった。

 というか、今の俺が言ったら場の雰囲気を悪くするだけだし。


 すると裕太が、

「いや、お前に拒否権ないから。いくぞ。」

 といって、どこかに歩きだしてしまった。


 正直俺には、付いていく義理はなかったが、しょうがなくついていくことにした。

             ◇◇◇


 着いたのは以外にも落ち着いた雰囲気で人気の古民家カフェだった。


 案内された部屋に入ると、なぜか貴司が待っていた。


 なぜいるのか聞こうとしたが、それを遮るようにみんなが注文を頼み始めたので聞くタイミングを逃してしまった。


 それぞれ飲み物を頼んで、―――翔太と貴司はコーヒーを頼んだが、俺と裕太は口が子供なのでほうじ茶―――本題に切り込んだのは裕太だった。


「何があったんか言ってみろ。」

 その声には、ごまかすことを許さないといった意志が感じられた。


 正直言っていいものか迷った。

 でも、三人の瞳は興味本位なものではなく、本気で人が悩んでいるのを心配するようなものだった。


 ――そう。みんな俺の異変に気がついていたのだ。


 そう思うと、昨日のことを言うことにした。

             ◇◇◇

 全部言った後、貴司が俺に向いて尋ねた。

「うーん。僕はストーカーを追い返した、君の勇気はすごいと思う。でも、香川さんへの対応は間違っていたんじゃないかなって思うんだ。別にその場で振ることはなかったんじゃないかな。答えを先延ばしにしたら香川さんだって冷静になって『やっぱり忘れて、、、』ってなるかもしれないじゃない。そこまで考えて振ったの?」


 耳が痛い。

 そのとおりなのだ。


 すずを思ってのことならその瞬間に答えを出さなくても良かったんじゃないか。


 そのことを昨日から何回も考え、そして後悔していたのだ。


 何度目かわからない後悔をしていたその時。

「っていうのは理論の上のことだし、実際にそんなところまで頭が回る人なんてそうそういないと思うよ。大事なのはその次。どうやって香川さんをフォローするかなんじゃないかな。」

 と続けて言ったのだ。


 見ると裕太と翔太もうなずいている。


「香川さんと付き合いたいなら、この壁くらい乗り越えんとあかんっちゅうことや。」


 翔太の言葉が皆の気持ちを代弁しているようだった。

             ◇◇◇

 皆に励ましてもらってから俺は帰路についた。

 もう過去のことはどうにもならない。

 未来のことを考えないと。


 そう決意して前を向くと、ちょうど自分の家が見えた。

 いつの間にか帰ってきていたらしい。

 しかし、、、

 家の前に、見覚えのない豪華な車が止まっていた。 ________________________________________________________________________________________

 みんないい友達ばっかり。 

 そして、謎の車、、、果たして誰のものなんだ⁉


 さてさて。

 今回は、お知らせが結構ありますww

 1つ目は4万PVを超えることができました!

 みなさんが続けてこのシリーズを読んでくださっているからだと思っています。

 これから、5万、10万も達成していけるようにがんばります!


 2つ目はこの話から気遣い・頭脳戦編に入ります!

 まぁ、、、健太には頑張ってもらいましょう!


 3つ目は学校の定期考査の影響で更新間隔がいつもより開くと思います。

 ゼロではないと思いますが、、、がんばります!


 ということで、引き続きこのシリーズをよろしくおねがいします!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る