第39話 恋

  思えば、先に予定が入っていても、ある程度すずとの行事を優先していたのは、すずのことが好きだったからだろうか。


 すずと話していて楽しいと思っていたのは、すずのことが好きだったからだろうか。


 すずと間接キスをした時、ものすごく心臓がうるさかったのはすずのことが好きだったからだろうか。


 たまにすずのことしか考えられなくなってしまうことがあったのは、すずのことが好きだったからだろうか。


「健太くーん?急にボーッとしてどうしたの?」

「え、あ、ごめん!なんか、急にボーッとしちゃった。」

「それならいいけど…」


 そう言って微笑むすずを見て、チクッと胸に針が刺さったような感覚を覚えた。


 俺は、すずのことを好きになってはいけのだ。


 すずは男子嫌いを乗り越えるために僕と仲良くなっているはずだ。

 そんなすずのことを好きになるのは彼女への裏切りのようなもの。


(あとで、この気持ちについて考えないとな。)


 そう思っていると、

「おまたせしました。ダブルチーズバーガーとトリプルビッグハンバーガーです!」

「ありがとうございま……でか⁉」


 届けられたのは、俺とすずが頼んだハンバーガー。

 俺のハンバーガーも、メックのものの二倍くらいのサイズはあるのだが…


 すずのものはなんと、そのさらに三倍ほどのサイズが合った。


「すず、それ全部食べきれるの?」

 俺が訪ねてみると、すずは目をキラキラさせながら、


「うん!私、実は肉食系なんだよ!」

 そう言って、ペロッと舌を出した。


 そんなすずは普段なら目をそらしてしまうほど可愛くて、でも、自分の気持ちに気づいた状態では、コロコロ変わるすずの表情からを離せなくて、


「あのー ずっと見られたら食べにくいんだけど?私の顔になんかついてる?」

「いや。ついてないよ。ごめんね」

 その表情をずっと見ていたくて

「ううん、だいじょうぶだよ!…って言いながら、なんで私の顔をずっと見続けてるの?」

「え、あ!ほんとごめん!」

 顔に見とれていて、すずの言葉が上の空だった。


 こんなんじゃ嫌われちゃうから気をつけないと。そう思う一方でやっぱり”恋”しちゃってるな、と苦笑いするしかなかった。


「好きな人に見つめられると恥ずかしいんだから…」

「なんか言った?」

「なんでもない!」

______________________________________

「恋」は辛いのか、甘いのか。

 人それぞれではありますが、健太は鈴音の虜になってしまっていますね。


 さてさて、次回から、「ジレジレ生活編」になります!

 どのように健太が鈴音への思いと向き合っていくのか、よければ今後ともお付き合いください!


 あと、誕生味おめでとう!っていうコメントありがとうございました!嬉しかったです!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る