第31話 わざと?それともわざとじゃないの⁉
翌日の土曜日。
ついに、すずの誕生日当日だ!
今日は土曜日だから学校が四時間目までだ。
流石に学校でプレゼントを渡すわけには行かないので、放課後、一度家に帰ってから渡すことにしよう。
そのために、すずの今日の予定を聞かないといけないな、と思った。
すずは、もしかしたら、誕生日パーティーを開くかもしれない。
だって、すずは、クラスの人気者だから。
◇◇◇
「すずー?今日の午後開いてる?」
「うん!どうしたの?」
「きょう、すずと会いたいんだけど、、、」
「えっ!?」
「あ、ちがっ!変な意味じゃなくて、、、」
そうだ。今日誕生日プレゼントを渡すことを言っていないんだから、自分以外から見たら、なんか、口説いているように見えたかもしれない。
「そっかー、そうだよね、、、」
、、、俺が慌てて弁明すると、すずが残念そうにそう口にした。
ただ、そのような表情を浮かべるすずはものすごくかわいくて、その、ドキッとした。
―――でも、俺がすずにそのような思いを持つのは許されない。だってそれは、すずへの裏切りを意味するから。―――
ここ最近半月くらい、そう自分に言い聞かせることが多くなった。そして、そのたびに自分の胸がきゅっと締め付けられる。
なんでかはわからないけど、インフルエンザに罹ったくらいつらかった。
そんな思いを顔に出さないように、
「それじゃ、前水族館に行ったときに待ち合わせた、駅前で待ち合わせね。」
と言って、俺はすずに背中を向けた。
◇◇◇
学校が終わって、家に帰ってくる。
ちなみに、自分の中にあった謎のつらさは、家に帰るころには消えていた。
買った香水を手軽な紙袋に入れて、家を出発した。
ちゃんと、気に入ってくれるかな、、、そう考えていると、ふと俺の頭に疑問が浮かぶ。
―――あれ?誕生日プレゼントって、一つだけでいいの?
その答えがわからず、急に不安になってきたその時、
花屋があった。
花も一緒に買っていったら一般的な誕生日プレゼントに近づくかな、と思い花屋に入る。
すると、手前には、「今が旬の夏の花」という、コーナーがあり、そこのコーナーのなかで、ひときわ気に入った『エキザカム』という花を買って、すずとの待ち合わせ場所に向かった。
◇◇◇
「ごめん待った?」
「ううん!全然待ってないよ!」
先に来ていた、すずに謝罪の言葉を口にして、近くの喫茶店に入る。
俺は、アップルジュース、すずは、オレンジジュースを頼んで、席に着く。
本当は、男らしくコーヒーを頼もうとしたのだが、頼んだところで、一口も飲めないことを思い出し頼むのをやめた。
「すず、今日誕生日だよね?お誕生日おめでとう!」
「う、うん、ありがとう!、、、ところで知ってるの?」
「LINUのプロフィールに書いてあったから、、、」
そういうと、すずは嬉しそうに俺を見て、
「エヘヘ、見てくれたんだ!気づいてくれたの健太君だけだよ!ありがとう!」
そううれしそうに微笑むすず。ただその笑顔を見ながら、頭に浮かんできた疑問をとりあえずぶつける。
「すずって友達いっぱいいるのに今日誕生日パーティーしなかったの?」
すると、すずは、苦笑いを浮かべながら、
「ちょっと、まだ友達との関係が薄いから、そういうことはまだできないんだよね」
と口にした。
これ以上すずを微妙な気分にしたくなかったので、強引に話題を変える。
「はい、誕生日プレゼント」
「ありがとう! あ!あけていい?」
「うん、どうぞ」
「はい!ではでは、ええと、、、 あ!ホワイトフローラルのハンドクリームだ。これって私が一番好きな匂いなんだ!ありがとう!!」
「ううん!気に入ってくれたならよかったよ!」
そのあと、しばらく鈴音と雑談して終わった。
ちなみに家に帰って、エキザカムを気に入った鈴音は、家に帰って色々調べたのだが、しばらくしてエキザカムについてのあるページを見たとき、急に顔を赤らめ、次にベットに行って足をばたつかせながら、
「わざと?それともわざとじゃないの⁉」
と叫びながら、悶えていたことを健太は知らない。 ________________________________________________________________________________________
『エキザカム』
良ければ、調べて見てください!とってもきれいな花です!
次回からは、学生の天敵ともいえる、あのイベントが始まります!
楽しみにしておいてください!
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