第30話 プレゼント選び
今日は6月12日。すずの誕生日の前日だ。
学校が終わったあと部活を休んで、デパートにでかけた。
デパートにはなんでもあるだろう、という考えだ。
実際、化粧品からアクセサリー、お菓子まで色々な種類の贈り物があった。
、、、、自分で選ぶことに意味がある、と森山さんには言われたが、こんなに多かったら、まずどんなものを買ったらいいのかがわからない。
仕方がないので、贈り物コーナーを見回っていた、女性スタッフに聞いてみることにした。
「すいません。」
「はい?いかがなさいましたか?」
「女性の同級生、、、知人に贈り物をしたいんですけど、色々なものがあって、何を送ったらいいのかわからなくて。少し相談に乗ってもらってもいいですか?」
「かしこまりました!まずどのような理由で贈り物をされますか?」
急に声をかけたのにも関わらず、嫌な顔ひとつ見せず対応してくれる、店員さんにどこか安心感を覚えながら、会話を続ける。
「その人の誕生日を祝うためです。」
「その人は彼女ですか?」
「いえいえっ!全然彼女とかではないです!ただの友達です!」
「?そうですか。少々お待ち下さい。商品を見繕ってまいります。」
彼女か聞かれるとは思わず、少し慌ててしまった。
少し待つと、先程の店員さんが、なにか手に持って、こちらの方にやってきた。
「おまたせしました。こちら、ハンドクリームです!付き合っていない間柄の人に一番人気がある贈り物になります!」
「そうですか、、、ありがとうございます!売り場に連れて行ってもらってもいいですか?」
「かしこまりました。私についてきてください!」
こうしてハンドクリームの売り場に連れて行ってもらった。
―――何故か付き合っていない間柄と店員さんに言われたとき、胸になにかつっかえるのを感じた。なぜだろう。
◇◇◇
ハンドクリーム売り場に連れてこられた、おれはその圧倒的な商品の数に文字通り口をあんぐり開けてしまった。
今までハンドクリームのような、おしゃれなものに無縁だったせいもあるが、ハンドクリームなんて、100種類くらいのものだろうと思っていた。
でも、いま目の前にあるだけで、ざっと600種類はありそうだ。
さっき、この店の店員の女性に、「お目当ての商品がこちらにございませんでしたら取り寄せますので、いつでも主押し付けください」と言われたので、これは氷山の一角なのだろう。ハンドクリームを舐めることなかれ。
とりあえずどんな匂いがあるのか見てみる。
どれどれ、ピーチ、ラベンダー、オレンジ、ハニー、オーガニック、チェリーブラッサム、ホワイトフローラル、、、
あれ、ホワイトフローラルってなんだ?
気になったので、手に少しつけて嗅いで見る。
すると、鼻の中が花壇でよく嗅ぐいい匂いで満たされる。
――――よし、これにしよう。
そう決めて、「このハンドクリームは、こんな人におすすめ」というコーナーを見るを見ると、「上品で清楚な人」となっていた。ぴったりじゃないか。
迷わずに会計を済ませて、俺は家に帰った。
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ホワイトフローラル、、、
いやー!ついに、30話を迎えました。
はよ、健太も自分の気持ちに気づかんかい!って思ったり、面白い、続きが気になるって方はハートや星ください!
お願いします!
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