第29話 俺って想像以上に陰キャだったんだな。
今日何の気なしにすずのLINUのアカウントのプロフィールを見ていたら、誕生日が6月13日となっていた。
今日は6月6日。その日の一週間前。
「、、、なんかすずにあげたいな。」
ひとりで口に出してから、ふと考える。
―――誕生日プレゼントで女子に何をあげたらいいんだ?
―――というか誕生日プレゼントって男女関係なしに何を上げるものなんだ?
―――予算ってどれくらいになるんだ?
考えれば考えるほど、自分でわからない疑問が湧き上がってくる。
今まで親密な友達といえば裕太ぐらいだし、その裕太にさえ
「お誕生日おめでとう!」「ありがとう!」
みたいなノリの会話をしたことはあっても、実際に何か送ったということはしたことがない。
「……俺って想像以上に陰キャだったんだな。」
そう独りごちながら、スマホの電源を落とした。
◇◇◇
翌日。
「ごめんね?森山さん?、、、じゃなくて夏奈さん?ちょっと時間もらえる?」
「おー!珍しいね!えーと、、、、、、」
「森下です。」
「あはははは!冗談だよ!」
森山さんに話しかけられたのだが、陽キャ特有だと思われる、ノリで返された。しかし、そのあと真剣な顔になって、
「ここじゃない方がいい?」
「うん。そうだね。」
「わかった」
俺が言いたいことを先回りして理解してくれた。
その後立ち上がって、「人目がないところ知ってるからついてきて!」と言い残して、すたすた歩いていく森山さんを見て、素直に仕事ができそうでかっこいいな、と思った。
◇◇◇
「で、どうしたの?すずに関することっていうことはわかるんだけど?」
人気のない教室に二人で入った森山さんは、開口一番そういった。
―――さっきからこの人はエスパーか何かなのか?
そう思ったが、確かにそれ以外に俺が森山さんに話しかけるきっかけがないな、と思いつつ意識を自分の話したい話に戻す。
「うん。それであってるよ。その、来週すずの誕生日なんだけど、何をあげたらいいかな?」
「あーね!今まで女子にどんなプレゼント送ってきたか教えてくれる?」
「今まで送ったことないな。」
「そ、そうか!じゃあ、男子でいいや!誕生日プレゼントに何を送ってきたか教えてくれる?」
「今まで送ったことないな。」
「、、、、、、健太君?」
「なに?」
「陰キャだね」
「ぐふぅ⁉︎」
傷をえぐらないでほしい。全く陽キャには遠慮がないのか。
「うーん。私はすずの好きなものとかも知ってるけど、、、なんか、それを健太君に教えるのは違う気がするんだよね。」
「お、おう」
何事もなかったように話を進める森山さん。その表情にもう冗談のような感情は含まれていなかった。
そして、
「わからないけど、よほどのものでない限り、君がもらってうれしいものは、女子もうれしいと思うよ?これが私から出せる最大のヒントかな。」
「何がいいかは教えてくれないんだ。」
「バーカ。それじゃあ私からの贈り物と何ら変わらないでしょう?」
確かに正論だと思った。
何がすずにとってうれしいか何から何まで人に聞いてからプレゼントを選ぶなんて、それは、なんか気持ちが入ってなくてずるい気がする。
そう考えていると、それを読み取ったように
「それに大切なのは、その人のことをどれだけ思いながらプレゼントを選んだのかっていうことだから。それが相手に伝われば、十分にいい送り贈り物なんじゃないかな?」
「ちょっと難しいけど、、、 うん!なんとなく何をあげたらいいかわかった気がするわ!相談受けてくれてありがとう!」
「いえいえ!お安い御用でした~」
そう言って、教室の外に出ていく森山さん。その背中を見ながら、
―――森山さんって陽キャ特有のノリはよくわからないけど、いい人だよな、
とつくづく思った。
「あ!言い忘れたけど自分がもらったらうれしいものって言っても婚約指輪とかは送っちゃだめだからね!」
「それくらいわかっとるわ!」
前言撤回。森山さんは俺で遊ぼうとしてるのかもしれない。
まあ、いい人なのには、変わりないけど。
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一体健太は、何を鈴音への誕生日プレゼントに選ぶのでしょうか?
予想してみてください!
さてさて改めての報告ではありますが、2万PV達成できました!
次は3万PVをできるだけ早く達成できるように頑張っていくんでよろしくお願いします!
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