第28話  体育祭の祝勝会

「3組の勝利を記念して、かんぱい!」

 川口先生の言葉とともに、みんながグラスを突き合わせる。

 時刻は午後7時。場所は学校近くの居酒屋。

 日中に行われた運動会では、最後のリレーで裕太と貴司が出場したリレーのおかげで、逆転し、そのまま三組は、一年生部門で優勝したのだ。


 そのあと、森山さんの提案で、祝勝会を希望者で行うことになったのだ。やっぱり陽キャは違う。


 ―――まさか、川口先生までノリノリで来たのには驚いたが。


 そして、たのんでいたメニューが届いたタイミングで、祝勝会が始まったのだ。

 始まって最初に話題に上がったのは、やっぱりというか、リレーに出た裕太と貴司が、異常に速かったということだ。


「富樫君と、柴田君は、何のスポーツを今までやってたの?」

「俺は、特に一つに絞って、みたいな感じでスポーツをしていたということはなかったけど、部活の助っ人みたいな感じでいろんなスポーツをしてきたっていう感じかな。」

「俺はずっとテニス一本だね!」

「「「「な、なるほど~」」」」「「「「すごっ!」」」」

 2人は一気にクラスの中心人物になっていた。

 まあ、あれだけ早く走ったのだから当然だろう。

 俺は、目立ってない者同士翔太と二人で食べながら過ごしていた。

                  ◇◇◇

 それからしばらくして、打ち上げも中盤に差し掛かったころ。

 相変わらず、裕太と貴司の話を、クラスのみんな聞いているのだが、

 もう一人視線を集めている人物がいた。

 それは、、、すずだった。

 まあ理由は明白だ。

 借り物競争のことだろう。


 すずはクラスで一番の美少女といっても過言でもなく、そんなすずが、男子を連れて走ったんだから、当然だった。


 ―――まあ、他人事みたいに言っているけど、俺もその事件の関係者なのだが


 さて、そのすずだが、男子から目立つことが苦手なので、ずっとそわそわしている。

 そして、

「ちょっとトイレ行ってきます!」

 と言い残して、どこか行ってしまった。

 つらいだろうな、と思っていると、翔太が

「香川さんのところに行ってあげや。」

 といった。

 また余計なことを言い始めたのかと思って、笑って翔太を見ると、昼までとは違って、真剣な表情をしていた。

「香川さんは、お前のこと待っとるんやと思うで。」

「は?でも、すずは、トイレに行ったんだぞ?」

「ごちゃごちゃうるさいな!今、香川さんが行った道をおいかけい!早く!」

「お、おう」

 なんでそんなに切れているのかわからなかったが、俺は翔太の勢いに押されて、席を立ち、すぐに追いかけた。

 その後、小さな声で、

「ほんま、鈍感な奴は大変じゃ、、、」

 と翔太がつぶやいたのは健太には聞こえなかった。

                  ◇◇◇

 すずはトイレに行くと言って席を立ったが、翔太の言葉通り、店の外で、一人立っているすずの姿を見つけた。

「何してるの?」

「あっ!」

 驚いたように声を上げて、すずは俺から目をそらす。

 みんなから注目されるのが嫌だったのかと思っていたが、俺が何かしたのだろうか。


 心当たりはないが、意外とそういう時に限って、相手に不快な思いをさせていることがある。

 だから、

「俺が気づかんうちに、すずが嫌な思いしたんやったらごめん。何か俺が悪いことしちゃったなら教えて。頑張って直すから。」

 必死になって自分の気持ちを伝える。すずに嫌われたくない、その一心だ。

 でも、すずはポカーンとした後、クスッと笑った。そして、

「健太君が鈍感なのが悪いんだよ!♪」

「えっ?」

「でも心配してくれてありがとう!みんなのところ戻ろう!」

「ちょ、ちょ、ちょっと待ってよ~」

 なんかわからないが、すずが元気になったからいいとしよう。

 ただ、鈴音が歩くのが速く、

「もう!ほんっとに、健太君は鈍感で大変なんだから、、、」

 という鈴音のつぶやきは、健太には聞こえなかった。

________________________________________________________________________________________

鈴音と翔太にはほんとに同感です!


さてさて、


たぶんこの話を出すと2万PVを超えると思われます!

そしたら記念のSSと、またある事をしようと思っています!

引き続き、この「俺が助けた少し抜けた彼女は学年1の美人な人気者でした」シリーズをよろしくお願いします!

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