第27話 体育祭

 そして翌日。

 体育祭が始まった。

 最初のプログラムのラジオ体操を終えて、自分のテントに戻る。俺の出番である徒競走は5番目、すずが出場する借り物競走は7番目、そして裕太と貴司が出場するリレーは最終種目で16番目だ。

 今日も俺は翔太に負けるわけにはいかないので、テントに帰るなりすぐにアップを始めた。

 すると、歩いていたすずと目があった。

 すずはこっちに走ってきて、

「健太くん!昨日みたいにがんばってね!応援してるからね!」

 と声をかけてくれた。それがとても嬉しかったので、俺も、

「ありがとう!すずも借り物のお題でいいやつだったらいいね!」

 と声をかけた。するとすずも、

「うん、ありがとー!」

 と言って、どこかに行ってしまった。


 すずにいいところ見せたいなー、と思いつつ俺はアップに戻っていった。

                  ◇◇◇

「よーい、どん!」

 そう言われた瞬間に俺はインコースに切りこむ。

 その結果翔太の前に出る。

 すずにかっこいいところを見せたいという一心でそこから全力で走ると、、、


 圧倒的な差をつけて1位だった。

                  ◇◇◇

「はぁ、はぁ、はぁ、、、お前昨日から早すぎやろ!」

「残念だったな。今日もジュース一本奢れよ。」

「わかったから教えてくれ!なんでそんなに早くなったんや?」

「それは、すずにかっこいいところを、、、」

 あれ?俺は今、何を?

 これじゃまるで、すずにかっこよくみられるのが一番の目的みたいじゃないか⁉

「そうか!健太もついに自覚したんか?」

 でも、翔太は俺の言葉に驚いた様子はない

「な、なにをだ?」

「香川さんへの恋心。」

「ブッ⁉」

 ―――俺がすずに恋心?そんなわけないだろ!


 ―――いや、俺がすずに恋心を抱いていないって言いきれるのか?もしかしたら、恋してるのかもしれない、、、


 ―――でもちょっと待て!一緒に一回出かけたくらいで恋するなんておかしい!

 いろんな思いが駆け巡ったが、とりあえず、、、

「変なことを聞くんじゃない。バツとして今日は、ジュース2本奢りな。」

「なんでや⁉」

 こういうことは時間をかけて自分の中で見つけていくものだからね!

                  ◇◇◇

 自分のクラスのテントに帰ると、ちょうど借り物競争が始まった。


 そしてしばらく翔太と雑談しているとすずの番になった。

 なんか、すごくいい顔をしている。勝負に勝ってやるという気持ちが前面に出ている。

 そう思っていると、

「香川さんに見とれとんのか?」

「、、、おまえ、奢りもう一本追加な。」

「ッグ⁉」

 邪魔者を黙らしたタイミングで、すずたちのグループがスタートした。

 やっぱり運動神経がいいのか、ほかの人が四苦八苦している障害物をものともせずにお題のところにたどり着く。


 やっぱりすごいな、そう思っていると、すずがお題が書かれてあるカードをめくった。

 そのとたん。


 一瞬面喰った表情をし、次に恥ずかしそうに首をぶんぶんして、それでも決意を決めて、、、顔を真っ赤にしながら、うちのテントに向かってきた。


 うちのクラスの人かな、と思っていると、

「けん、、、じゃなくて、森下君!一緒に来てもらっていいですか⁉」



 、、、え!俺⁉

 俺じゃなくてもいいんじゃない?と思ったが、涙目でこちらを見てくるすずを見ると、断るという選択肢はなかった。

「わ、わかった!」

 さっとテントの外に出て、すずと一緒に走った。

 もちろん1位でゴールしたのだが、、、


 ずっと、すずの顔が真っ赤だった。

 さっき係の人に、お題のカードを渡したとき、係の日とは驚いたように目を見開き、それから、「読み上げましょうか?」とすずに言ったのだが、すずが、

「いえ!!大丈夫です!!」

 と言って、ゴールの方に俺を引っ張っていった。


 お題はクラスメートか、男子かな、と思っていたが、そんな感じじゃないのだろうか?


 気になったので、

「なんていうお題だったの?」

とすずに聞いてみると、

「1番すk、じゃなくて!親しい友達だよ!」

「ん?親しい友達で1番に俺のことが思い浮かんだってこと?嬉しい!ありがとう!」

「あぁいやえっと!もう‼︎」


なんか思い出したようにうずくまっているすずだったがそれをみて少し可愛いと思ったことは自分の胸に留めておくことにした。

 ちなみに、裕太と貴司が出たリレーは、二人がぶっちぎりに早くてほかのチームと半周以上の差をつけて圧勝していた。


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 熱い!

 久しく更新できてなくてすみません!これからは、週2位のペースで更新しますのでよろしくお願いします!

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