第21話 あんた何したの⁉
月曜日。
学校についた俺は、女子と楽しそうに話しているすずを見つけた。
男子嫌いを克服しようと頑張っていることを知っている俺としては、いつか男子ともこんな風に話せたらいいなーと思った。
しかし、そのとき二つの違和感を覚えた。
一つ目は、今に限らず、最近よく感じることだった。
以前は、
―――香川さんが男子に慣れたら、俺はお払い箱になるのだ―――
と、自分に言い聞かせていたのだが、最近LINUで話したり、一緒に出掛けたりするうちに、ずっと一緒に過ごしたいと思い始めていた。
―――男子と仲良くなってほしいし、これからもずっと一緒にいたい。―――
この二つの思いが俺の中で複雑に絡み合っていた。
そして・・・・・・自分の心の狭さに対して、自己嫌悪に陥るということを最近はずっと繰り返していた。
そして二つ目は、すずの向こうから感じる強い敵意のこもった視線を感じることだ。
ふと目を向けてみると、いつもすずと仲良くしている女子のひとりだった。
確か名前は、、、森山夏奈さんだったかな?
なぜそのような視線を向けられたのか考えていると、机の上に紙きれが一枚置かれてあることに気づく。
そこには、
「1時間目が終わったら、屋上に来てください 森山」
と書かれてあった。
―――え、普通に怖いんだけど⁉―――
◇◇◇
「森山さん、だよね?えーと、どうしたの?」
1時間目が終わり、屋上に出た俺は先に来ていた森山さんに恐る恐る声をかける。
すると待ってましたとばかりに、こちらを向いて、
「休み時間も短いから単刀直入に聞くわ。あなたすずに何したの⁉︎」
と言った。
―――俺、そんな怒られるようなことなんかしたっけ⁉︎ ―――
と、思ったが、すずが俺が思っているすずじゃない可能性もあったので、一応確認を入れてみる。
「すずって、香川鈴音さんで間違いないですか?」
「そうよ!」
間違っていないらしい。
何かやらかしたかな、と記憶の中への旅に飛び立とうとすると、
「私、あの子と幼馴染だからわかるけど、すずが男子に懐くわけがないのよ!一体なんの弱みを握ってるの⁉︎」
と聞いてきた。
たしかに、昔からすずのことを知っている人だったら、そう思うのも仕方ないかなと思い、俺は入学式から今日までの出来事を話した。
話し終わった時、もう森山さんの目に敵意の感情は含まれてなかった。
「そうだったんだ。まずさっき失礼な態度を取ってごめんなさい。」
「いや、気にしなくていいですよ。」
「ありがとう。なんであの子があなたに拒否反応が出ないのかわからないけど、あの子のこと、よろしくね!」
「はい」
「何かあったら連絡してほしいから、LINU交換していい?」
「いいですよ」
そうやって交換した後、森山さんが、
「LINU交換したんだし、タメ口でいいよ!私のことも夏奈でいいよー!」
「はい、じゃなくてわかった」
これが陽キャの力か、そう実感した。
________________________________________________________________________________________
これで友達公認の彼氏、、、じゃなくて友達になった、健太。
カップルになるための妨げはもうないぞ!
早く自分の気持ちに気付け!笑笑
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます