第16話 相談
午後6時半。
やっと家に帰ってきた俺はヘトヘトだった。
「こんなに部活が疲れるものだったとは、、、」
そう呟いて、家に入っていく。中学校まで帰宅部だった俺には、運動部、しかもその中でもかなりきつい部類に入る野球部はあまりにもきつかった。
どのようにきつかったのかというと、まずグローブが硬すぎてキャッチボールができない。先輩たちは、買いたてのグローブはみんな硬いから大丈夫だよと声をかけてくれたが、本当にこれからキャッチボールができるのか思うと、早くも泣きそうになった。
次に、バットが思っていた何倍も重かった。プロ野球でみていた選手はみんな軽そうにバットを振っていたので、軽いものだと思っていたが、甘かった。最初はプラスチック製のバットとあまり重さは変わらないだろうと思っていたが、なんと1kg近くあり、これじゃダンベルを振るのと変わらないじゃん!と思った。
そして極め付けに、野球部のみんな、走るのが早い。みんな50メートル7秒台だと言っていた。50メートル9秒台の俺にとってそれは衝撃すぎた。
こうして、初めての本格的な野球部の練習は、走・攻・守全てで打ちのめされたのだった。
というか、先輩に「肩は強い」と言ってもらっていなかったら、野球部の幽霊部員になっていたかもしれない。
帰ってきてご飯を食べて、風呂に入り、ゆっくりしようと思った時にLINUの通知音が鳴った。
なんだろう?、と思って、開いてみると、そこには、今日LINUを交換した香川さんの名前が表示されていた。メッセージは、
『遅い時間にごめんね!いきなりだけど、相談乗ってもらっていい?』
『いいよ!』
まだ寝ようとは思っていなかったので、二つ返事で返事のメッセージを打つ。
『研修旅行でも言ったけど、男子が苦手なんだよね、、、』
『理由を聞いてもいい?』
そういうとそうなってしまった理由を教えてくれた。
簡単に言うと、中2の時、夏祭りに行ったら、高校生らしい三人組に「君かわいいね」とニヤニヤしながら言われて、率直にキモいと思ったらしい。
それから、年頃の男子の下心丸出しの視線が苦手になったそうだ。
美人ならではの悩みなのだろうが、怖かっただろうと想像することは容易だった。
『怖かったね、、、それでも鈴音は克服したいんだよね?』
『うん』
下心を持っていない男子と話させるしかないのかな。
『じゃあ、俺がいっつも一緒にいる奴らと遊びにいってみる?あいつらは下心なんてないと思うんだけど?』
『んー。いきなり大人数は怖いかも。』
『なるほど、、、』
どうしたものかと考えていると、
『健太くんが良かったら、一回二人でどっか出かけてくれない?』
『二人って、、、二人きり?』
『そうだよ。別に私が軽い女だから、誘っているわけじゃないからね!』
『わかってるよ。』
とんでもない提案をしてきた。
香川さんほどの美少女と二人きりで街を歩くことができるとは思えなかった。ただ––––
(俺がまず男子は怖いものじゃないって教えてあげるしかないよな、、、)
そう決意して、
『わかった。一回どこか二人で行ってみようか。』
『うん!』
そこから日時と場所を決めて、おやすみーということになった。
そして寝ながら考えた。
(これ軽くデートじゃね⁉︎)
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