第15話 LINU交換

 研修旅行は三日間あったものの、終わってみればあっという間だった。

 帰りのバスも酔って、なんとか学校に着いた。

 できればこのまま家に一直線……と言うわけにはいかない。

 この後は部活に顔を出して、買ったばかりのグローブでキャッチボールをするつもりだ。

 しかしその前に、もう一つやらないといけないことがあった。


「す、鈴音!LINUのID聞いてもいいかなっ!」

「あ!健太くん!わかった!ちょっと待ってね!」

 研修旅行の間に約束していたLINU交換の約束を果たすために香川さんに話しかける。いつもは話しかけるくらいなんてことないのだが、昨日の寝る前に健太に言われた言葉、

    「お前が好きな人は、、、香川さんだよ!」

 これをどうしても意識してしまって、噛んでしまった。

 その様子を見て、香川さんは不思議そうな顔をしたけれど、気にせずにLINUのIDを探して表示してくれる。

「はい」

「OK。ちょっと待ってね、、、よし!友だち申請したけど、届いた?」

「この『K E N』っていうアカウントであってる?」

「うん」

「わかった。じゃあ承認しといたよ!」

「あ、こっちにも通知来た!」

 香川さんのアカウントは『S U Z U』という名前で、アイコンは犬の写真だった。


「このアイコンの犬かわいいね!飼ってるの?」

「うん!そうだよ!この犬がうちの『ムギちゃん』です!」

「へー!むちゃくちゃ可愛いね!」

「うん!そうでしょ!今度会いに来る?」

 自然な感じで聞いてきた香川さんに一瞬驚きながらも冷静に次の言葉をかける。

「、、、ちょっといいかい、鈴音。そんなに簡単に男子を家に誘ってると、、、その、、、軽い女だと思われちゃうよ?」

「あっ!ほんとだ、気をつけないと!というか私、軽い女じゃないからね!」

「わかってるよ。また機会があったら、会わせてね!」


 女子の家に誘われたが、俺は期待なんてしない。彼女いない歴=年齢である俺は、女子との接し方なんて全くと言っていいほどわからない。今は相談相手になっている俺も、香川さんが男子に慣れたら、お払い箱になるのだといつも自分に言い聞かせていたのだ。


 ただ、これは、かなり香川さんが俺にかなり信頼を置いてくれているということだろう。これは裏切らないように気をつけないといけない。そう、また自分を戒めた。


「だいたい男子を家に誘ったことなんて初めてなんだから。」

 香川さんが呟いているのが聞こえたが、いくら男子が苦手だからと言っても、彼氏ぐらいはいたことがあるだろうと思い、自分の聞き間違えだろうな、と思った。




 ――ただ、そう呟いている香川さんの顔を見て思わずドキッとさせられてしまった

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 報告

 第7回カクヨムWeb小説コンテストのエントリーはあきらめました。理由は今月末までに10万字達成できそうになかったからです。

 とはいっても、これまで通り小説は執筆していくのでこれからもよろしくお願いします!

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