第14話 研修旅行⑥

 他の班より早く、ログハウスに帰ってきた俺たちの班は、持ってきたカードゲームや将棋などをして遊んでいると、あっという間に就寝時間になった。


 いざ電気が消されてみると、昨日ほど疲れていないのか、なかなか寝付くことができない。そうやってモゴモゴしていると、俺の布団のそばの人影が動いた。


「なあ、健太。研修旅行の夜といえば、やっぱり恋バナしかないよな?」

「はいはい。そんな女々しいことしねーよ。」

「でもみんなやってるから」

「でも、お前しか布団しか抜け出してないぞ。二人じゃどうしても盛り上がらないだろ?」

「わいもおるぞ!」

「へ?」

「昨日は疲れてたからすぐ寝たけど、やっぱりこういうの大事だよね」

「………」

 こいつらマジでやる気だ。ってことは、

「俺は寝よっかn」

「「「逃さねえよ!」」」

 はい、ですよね!知ってました。強制参加でしょ!

              ◇◇◇

「俺は、健太にも言ってなかったけど、椿坂47のファンなんだよね。だから不倫はできない!」

「おー裕太も推しがいたんだね。俺はgreenredって言うK-popのグループにハマってるから、この学年に好きな人なんていないよ。」

「お前らだよな。恋バナしたいって言ったのは?恋バナしないのなら俺はねr…」

「寝かせねぇよ?大体これも広い意味で恋バナに入るでしょ?」

「………」

 裕太と貴司が全然思っていたのと違う恋バナをしていたので、思わず突っ込んでしまったが、逆に貴司に説得されてしまう。翔太もグルだったのか!と思いながら翔太を見ると、

「……お前ら、俺と健太を騙したんやな!」


 どうやら、翔太は本当の恋バナだと思っていたらしい。しかも、俺も翔太も芸能界のことには疎いから、急に女優の名前を挙げることはできない。

「お前らが卑怯な手を使うなら……俺もちょっとごまかして言うことにするぞ。俺が気になってる人は、、、ショートカットが似合ってて、一見すると怖そうだけど、何事にも一生懸命な人やな」

「……全然わからんな。」

 貴司と裕太それに俺も全然わからず、唸っている一方で、翔太は顔を赤くしていた。翔太は関西弁を使っていて、強面で初対面の時は怖そうだと思っていたが、こうして接しているうちに意外と初心なんだな、と思うようになった。


「まあ、いつかだれか当ててやることにして、、、健太も言ってね!」

「場を冷めさせるようで悪いけど、おれは芸能人もよくわからんし、女子のこともよくわからんから別に誰のことも好きじゃないわ。」

「、、、、、、健太。お前マジで言ってるのか? いや、ちがうな。気づいてないのか?」

「えっ?何のこと?」

俺がそういうと、裕太だけでなく、翔太と貴司も俺にジト目を向けてくる。え、何?


「そうか。お前、自分で気づいてないんだな。」

「だから何のことだよ?」

「お前が好きな人は、、、香川さんだよ!」

「、、、は?香川さん?なんでそうなるの?」

「なんでって、いつもお前香川さんのことを目で追ってるよ。」

「ウソ!でも、別に恋心なんt」

「おまえらまだ起きてるのか!早く寝ろ!」

「「「「すいません!」」」」

巡回にきていた先生に見つかってしまい俺らは自分の布団に戻る。ただ、自分の香川さんへの思いが何なのか、考えれば考えるほどわからず、あまり眠れなかった。

________________________________________________________________________________________

 恋バナは女々しいというのは当初の健太の考えで、男子もしていいと思います!というかむしろするべきだと思います!深夜テンションは、いつもなら絶対言わないことも口を滑らせちゃうんですよね!

 若者の皆さんは、先生に怒られない程度で恋バナしましょう!

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