第10話 研修旅行②

「健太くんは学校の友達関係はうまくいってるの?」

 話すといっても、何を話したらいいのだろう、と考えていると、香川さんが話を振ってきてくれた。

「まあ中学校の時よりはいいと思うよ。まあ鈴音ほどじゃないと思うけど。」

 隠キャではないが、陽キャでもない俺は、クラス内で人気者な香川さんほど友達ができているわけではない。しかし、特別に誰かに嫌われていると言うわけではないからかなり順調だろう。

 しかし、香川さんはこれを聞いて表情を曇らせた。

「そうなんだ、、、 ハァ」

「えっ?鈴音には何か友達関係の悩みとかあるの?」

「まあ、はい。って言っても自分が悪いんですけどね。」

 何か問題がありそうには日常生活では見えなかったが、その自虐的な笑みを見ては、それに追及しないと言う選択肢は無かった。

「よかったら俺に話してくれない?鈴音がそんな悲しんでるの俺は見たくないよ?」

 すると、香川さんの顔が赤くなる。そして俺も気づいた。

(俺、今すっごいキザなセリフをはいてしまった。)

 さすがに恥ずかしくなって、沈黙が訪れる。


 しばらくして、沈黙を破ったのは、香川さんだった。

「それでは相談に乗ってくれる?」

「あ、うん!何を悩んでるの?」

「実は、、、男子が少し苦手というか、喋りづらくて。」

「え?今、俺と喋ってるじゃん。」

「男子の健太くんに相談するのはなんか変な感じなんだけど、男子の中で健太くんとしかちゃんと言葉を交わしたことがないんだ。」

 話を聞いてみると、クラスの中心にいても、男子と会話するのは香川さんの友達で、香川さん自身は2、3言しか話していなかった。それで、男子に失礼だと思って、俺に相談したらしい。

「どうすればいいかな、、、。」

気にすることのなさそうな話だが、彼女の表情から本当に悩んでいることが伝わってきた。責任感が人一倍強いんだろう、と思いながら、俺は提案する。

「男子を遊びに誘ってみたら?カラオケとか。」

「ハードル高いなー」

「うーん、そうだよね。」

そうして考えていたら、食事会場からぼちぼち人が出てきはじめた。

「まあ、考えてみるね。じゃあ!」

そう言って香川さんから離れようとすると、

「ちょっと待って!」

そう言って俺の服をちょんとつまんできた。

(美少女に上目遣いは反則だろ!)

と思っていると、

「LINUやってる?」

と聞いてきた。LINUはスマホを持っている人ならほとんど持っているであろうメッセージアプリのことだ。

「うん」

「じゃあ、帰ったら、交換してもらっていい?」

「いいよ。」

「じゃあ、またね!」

こうして、俺はクラス1の人気者で美少女の香川さんとLIMUを交換することになったのだった。

_____________________________________________________

この話は「〜記念」が多いんです!

 ①2021年最終投稿

 ②2000pv達成

 ③10話達成

 ④一万文字達成

 こんなに同時に達成するなんて結構すごいんじゃないかと個人的に思います。

 さて、①で書いたように、これが年内最終投稿となります。

 2022年が、皆様にとって良い年であることを祈って、

 良いお年をお迎えください!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る