第8話 敬語使わなくてもいいよ
次の日、裕太を追い詰めると、逆に野球部の魅力を力説され、渋々入部することにした。
まあ野球自体は嫌いではないので、サッカー部に入れさせられるよりはマシ、と自分に言い聞かせた。
初日の授業は数学と古文と現代文、そして情報で午前中に終わるようになっていた。
どれも入試に関係する教科だったが、今日はガイダンスで授業は進まなかった。どの先生も生徒の意見を聞き入れてくれそうな雰囲気で、脳筋はいなそうだったので安心した。
授業が終わりSHR(ショートホームルーム)の準備をしていると、香川さんが手に紙を持った状態で他の女子と談笑していた。香川さんは入学式から一日足らずで、持ち前の美貌と性格の良さで男子も女子も関係なくクラスの中心的存在になっていた。もしかしたら、この学年でも中心的存在になるかもしれない。
そんなことを考えていると、談笑していたグループから香川さんだけが抜けて、俺の机に近づいてきた。そして、手に持っていた紙を俺の机の上に落としたあと、何事もなかったように談笑の輪に戻っていった。
その紙しか手に持っていなかったのだから気が付かなかったわけがない。そう思いながら紙を見ると、
「SHRが終わったら昨日二人だけ出会ったところにきてください!」
と女子らしい綺麗な字で描かれてあった。
あんな変な行動をせずに、直接言ってくれたらいいのになぁと思いつつ、その紙をポケットの中に俺はしまった。
◇◇◇
SHRが終わりクラスが解散になった後、昨日の場所に行って見るとそこには既に香川さんが待っていた。
「ごめん!待たせた?」
「いえいえ!今きたとこですし、こちらが呼び出したから私の方が早くついて当然です!」
「ありがとう。ところで、どうしたの?」
「あぁ。実は部活に関して聞きたいことがあるんですけど、、、」
「うん」
「どこの部活に入るんですか?」
俺は帰宅部だよ、と言おうとして思い出す。そういえば裕太にやられたんだった。
「えっとね、野球部だよ!」
「野球部ですか、、、では部活中に見かけることはありませんね、、、」
「確か香川さんはバトミントン部だったよね。まあお互い部活頑張ろうね!」
「はい!えーとじゃあ聞きたいことはもう終わりなので、また明日学校で会いましょう!さようなら、、、」
要件それだけ⁉︎と思いつつ、香川さんを呼び止める。
「香川さん!ちょっと待って」
「ヒャイッ!にゃにゃなんでしょう?」
反応かわいいなあと微笑みながら言葉をつなげる
「同級生なんだし、敬語なんか使わなくてもいいよ。俺も使ってないし!」
「いや、、、でも、、、」
「なんなら、健太って呼んでもらっても構わないよ?」
「ッ!(モゥ!イキナリナマエデヨンデイイヨナンテヒキョウスギマス)」
「どうしたの」
「分かりました!じゃあ健太くん!私のことも鈴音って呼んでください!じゃなくて呼んでね!」
「オ、オウ。わかった鈴音!また明日!」
「はい!さよなら!」
そう言いながら帰る鈴音の頬は昨日に増して赤くなっていた。
一方の健太も
(あんな美少女と連日話せて、呼び捨てで呼び合える仲になるなんて、俺の高校生活やっぱいいかも!ちょっとドキドキするけど!)
なんて思っていた。
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この小説も1500pv越えることができました!ありがとうございます♪
これからも頑張って執筆するので付き合っていただけると嬉しいです。
出会編は今回で終わります。次回からは学校生活編になります。
次回からしばらく研修旅行に健太たちは行くことになると思います!
これからもよろしくお願いします!
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