第7話 OK…っては⁉

 ひとりぼーっとして帰りの電車に乗る。今日はいろんなことがありすぎた。


 香川さんを助けたこと。本当に助けられてよかった。もう少し遅れていたら怪我をしていたかもしれない。

 クラスの担任が優しそうだったこと。怖い先生だと怯えて暮らさないといけないから違っていて、良かったと思う。

 同じクラスに香川さんや裕太がいたこと。裕太と同じクラスだと言うだけで「友達を早く作らないと」と思っていた心に余裕ができた一方で香川さんがいたのにはびっくりした。

 急に自己紹介を考えて、やらないといけなくなったこと。香川さんを見た瞬間びっくりして内容が飛んでしまったけど上手くできてよかった。あと香川さんのあわあわしている感じはかわいかった。

 横田くんと柴田くんが話しかけてくれて、友達になったこと。あんな俺の自己紹介を聞いて声をかけてくれた彼らには感謝しかしてない。

 彼らに押しつけられて研修旅行の班長になってしまったこと。、、、なってしまったからには、しっかり責任を持って取り組もうと思う。

 そして帰り際に、香川さんに呼び出されて今朝のことを感謝されたこと。最初は何か文句を言われるのではないかとビクビクしていたけど、純粋に感謝されていることがうれしかった。


 全てが今日の朝には考えられないことだった。

 でもこれらを全てからの贈り物と考えて充実した高校生活を送ろうと思ったのだった。

            ◇◇◇

 家に帰ってもらった教科書の確認をした後、早めにご飯を食べ、風呂に入り寝る用意をした。これから始まる高校生活は勉強も難しくなるだろう。高校生活を不安に思っている以上、早く寝るに越したことはない。


 しかし、寝ようと思っていたところで、自分のスマホに着信が入る。見てみると、着信元は裕太だった。

「おう裕太。どうした?」

「夜遅くにごめん。今ちょっといい?」

「ああ。手短に頼む。もう寝るつもりだから」

「早いな!まだ8時過ぎだぞ。」

「高校では何があるかわからないからな。」

「相変わらずまじめで、お前らしいわ。」

「で、何の用?」

「あー!今日俺と横田君で野球部の練習に行ったのは知ってるだろ?」

「うん」

「なんか部員が少ないらしくてすごい歓迎されたのよ」

「おーよかったじゃん。」

「お前帰宅部になる予定やろ」

「うん」

「お前野球好きだよな」

「うん」

「俺がお前の入部届書いといたから!先輩たちすごい喜んどったぞ!じゃあな!」

「OK…っては?なんでだよ!おい裕太?」

          プープープープー




   おおおおおいい!ふっざけんなよおおおおおおおおお!

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 一話前の8行目 というを見事に回収することになった健太でした。

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