第2話 クラス分け
その後、健太は数々の嫉妬と非難の視線に気づかないふりをしてなんとか学校にたどり着いた。今朝のことが噂になる前に友達を作っておきたいな、なんて考えながらクラス分けを見にいく。
この学校、県立城北高校は偏差値で見ると頭がいい方ではあるが、名門校と言えるほどではない。中学校の同級生がみんな何人かいるレベル。
それゆえに、中学校の友達同士で同じクラスになれただのなれなかっただのの騒ぎが起こっていた。それを横目に見ながら自分のクラスを確認する。
「1年3組か……ん?」
クラスの名簿に自分の名前を見つけ、一安心して名簿から視線を外そうとしたその時、見覚えがある名前を目にする。その名前の正体は、
「よう健太!おんなじクラスみたいだな!高校でもよろしくな!」
しかし、その日の放課後に屋上で
「俺は逆境でこそ自分の実力を最も出せるんだー!待ってろ城北高校!」
と叫んだ後、(校庭にいた生徒から変な目で見られたことは言うまでもない)中学の野球部で培った集中力と鋼のメンタルで劣勢だった状況を跳ね返して、ここにいるのである。
「残念ながら同じクラスみたいだな。」
「誰が残念だよ!」
裕太が突っ込んでくる。僕にとっては相変わらずのノリだ。
「お前と一緒にいるとバカになる。」
「うるせぇ。スポーツのこと教えてやんねーぞ」
「スポーツのことってなんだよ?」
「筋トレの仕方とか、理想の筋肉の付け方とか……あとは……」
頭が筋肉でできているのであろう裕太に対してため息を付きながら俺はつぶやく。
「オーケー。筋肉は僕の人生において必要ない。」
「お前ひねくれてるなー」
「お前こそ勉強教えてやんねぇぞ?勉強サボると部停になるから気をつけろ」
「部停?なんだそれ?」
「部活停止処分ってこと。テストで平均点の半分以下を2科目以上取ったら次のテストまで部活ができなくなることだよ。」
うちの学校はあくまで勉強重視のため、いくら部活で成績が良くてもすぐに部活停止処分になってしまうというのは母から聞かされていた。
しかし、裕太は知らなかったようで、そのことを言うと裕太の顔はさっと青ざめた。
「おいおい!そんなの聞いてねぇぞ!」
「まぁ、お前が入ったおはそういう学校だ。それくらいわかってたことだろ……」
「いや厳しいな……。マジでそれだけは回避しないとなぁ……」
「まぁお前じゃ三年間ずっと部活停止だろうけどな」
「何だと!俺を舐めるんじゃねぇぞ!」
そんな風にじゃれあいをしながら教室に向かって歩いていった。
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