驚愕の宣言

「実はなライル。我が家を破産させることにした」




その言葉はライルにとってとても衝撃的なものだった。ライルは孤児院支援をどう頼もうか考えていたが、頼むどころではなくなってしまった。




「理由を教えてください!」




「借金を猶予してくれていた家が、代替わりしたことで、一括での返済を求められたんだ。できなければ娘を寄越せと。だが私は強欲な豚に娘をやる気はない!」




賛同したライルは、ふざけた要求ををしてきた相手を潰す算段を考え始めた。




「恐らく、真の目的は借金ではなく姉上や妹達でしょうね」




「だろうな」




両者の認識は一致した。なぜかと言うとルイベル家の女達が美女揃いと言うのは、貴族の中では有名な話だからだ。




「東部貴族なら東部辺境伯である、おじい様から交渉をしてもらえば問題なかったんですがね」




「まったくだ」




ライルは母親が悩んでいる時点で東部貴族ではないことはわかっていた。東部辺境伯は東部地域のまとめ役なのだ。




ライルは自分には切り札があることに思い至った






「母上。この件俺に任せてもらえませんか?」






「わかった。ライルに任せよう」




母親は内心、戸惑いはあったが、自分になにか策があるわけでもないため、ライルの申し出を許可することにした。




「ありがとうございます」




ライルはなんとしてもお金を稼ぎ、強欲な豚の話を潰すつもりでいた。




ライルは部屋を出ると遺跡へ向かい、談話室でイリスやサクラに事情を話し相談した。




「それなら、食料がいいなの」




「確かにそれはいいですね。魔道具で外の世界を見てると、飢餓が他の地域で起こっている影響で、東部も食料が値上がりしているみたいなので」




「なるほど。それはチャンスだな」




ライルは東部辺境伯である祖父の元には、東部貴族から支援要請が来ているだろうことは容易に想像できた。




「なら、さっそく用意するなの」




「そうですね。食料生成プラントを動かせば、様々な野菜や果実が作れるでしょう」




「そうだな。俺はプラント生成品はあまり好きじゃないけどな」




ライルは生成プラントは自然で育てた物と比べると、味が落ちる気がしていた。




「確かに、いろいろな物質や化合物を合成して作るので、普通に育てた物よりはまずいですね」




過去では人工の爆発的増加に、食糧生産が追いつかず、食糧生産プラントを頼りにしていた




「まぁ、でもこの時代の作物からしたら充分旨いけどな」




知識人が殺された影響により農業も衰退していた




「では、動かします」

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