ライル衛兵を追放処分にする
追放権限は当主にしかないため、ライルの行為は確かに越権行為ではあった
「勝手にしろ」
だが、ライルは母親から、領地内では当主の権限を行使することを認められている。もし乱用すれば、鉄拳制裁や追放もあり得るので行使にはかなり慎重だったりする。
「そこの二人。追放処分の周知が終わるまで、この馬鹿を牢に入れておいてくれ」
「「は」」
二人が問題の衛兵を拘束し連行していったのを確認したライルは子どもと一緒に孤児院に向かった
しばらく歩くと、教会と併設された木造二階建ての、建物の入り口についた。少年が入り口から中に入り、シスターを連れて戻ってきた
「この子を助けて頂いたそうで、ありがとうございます」
シスターは十代後半で笑顔がとても似合いそうな少女だった。
「いえ、領主家の人間として当たり前のことをしただけなので、お気になさらず」
ライルからしたら孤児だからと不当に扱われるのは許容できなかっただけなのだ。ライルは付いてきた目的だある、お金のことを説明した。
「シスターその金皆の食事代にしてくれよ」
説明が終わったタイミングで少年がそう提案してきた。
「ありがとう。これで当分食料を心配しなくてすむわ」
少女は嬉しそうに微笑んでいた。
「シスター、支援金が出ているのに食料はたりないのか?」
ライルは孤児院に領主家から支援金が出ていることを知っていたので気になり、聞いてみた。
「支援金がここ最近少なくなってきていて、予算はカツカツなんです」
そう言われたライルは予算削減には思い当たることがあった。今朝自分も家庭教師の予算を削られたばかりだったからだ。
「カツカツと言っても、幸いまだ食事のお代わりを禁止すれば、どうにかやっていけますが、これが続くとなると」
シスターは暗い表情で下を向いてしまった
「わかりました。母上に直訴してみます」
ライルはいたたまれなくなり、直訴を約束して自宅へと帰宅した。ライルは昼食を取ると、母親の執務室に向かいドアをノックして、入室した。
「母上、朝食の時来るように言われたので、伺いました」
「実はな、孤児が衛兵から差別を受けていると報告があってな。ライルがなにか知らないかと思ってな」
母親は為政者として捨てておくわけにはいかないと判断し、トレーニングのため、外に出ることの多いライルに話を聞こうと考えていた。
「それなら、差別現場に居合わせたので対処しておきました」
「そうか。よくやった。詳細を教えてくれ」
ライルはことの詳細を母親に報告した
「なら、そいつを追放すれば問題ないな」
「はい。母上」
ライルが返事を返すもまだ母親の表情は険しかった
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