ライル激怒する
ライルが森を抜け、家に帰る道を歩いていると商店の前で孤児らしき子どもと、店の人間が言い争っていた。そこに騒ぎを聞きつけた衛兵が三人到着した。この領地では班のリーダーを示す腕章を巻いた、衛兵が店主から話を聞き終わると、孤児だけ連行しようとして子どもに抗議されていた。
衛兵が、子どもに激怒し、持っていた槍で子どもを叩こうとしたので、ライルは衛兵との間合いを一気に詰め容赦なく衛兵を蹴り飛ばした。蹴り飛ばされた衛兵は少し離れた地面の上に倒れている
「子どもを槍で殴ろうなど、死んだらどうするつもりだ!」
普段冷静なライルが珍しく、感情を露わにし、激怒していた
「孤児の子どもなど死んだところで問題ないだろうが!」
蹴り飛ばされた衛兵が起き上がると、ライルに向かって反論してきた。だが、この反論は悪手だった。ライルが孤児の子どもだろうが、死ぬ可能性に激怒していたからである。
「孤児だからって、命の重さは変わらん!」
ライルは孤児だからと言って、不当に扱われるのは、我慢ならなかった。
「なにをばかなことを。おい、そいつを拘束しろ」
ライルに蹴られうずくまっている男が偉そうに、傍観していた二人の衛兵に命じた
「そこの二人、俺の顔に見覚えは?」
そう言われた二人は顔を見合わせまさかの可能性に思い当たる
「ま、まさか、ライル様!」
衛兵は嫡男が護衛もつけずに町にいるなど考えもしなかったため、すぐには気づかなかった。
「それで俺を拘束するのか?」
「とんでもない。そんなことはできません」
衛兵の一人が慌てながら答えた。
「当然だな。今からここで白黒つけるため、即決の裁判を行う。問題ないな」
「「はい、問題などございません」」
衛兵の二人は即座に返事を返した
「店主、子どもが盗んだ証拠は?」
「ありません。ですが、個数が足りなくなったことに気づいた時そばに居たのは、その薄汚い孤児だけです。物を盗むなど、薄汚い孤児ならやっていて当然です。だから間違いありません」
店主は自分の偏見がさも当然であるかのように発言した
「店主の言う通りであれば、この子どもがまだ商品を持っているはずだ」
「おっしゃる通りでございます」
ライルは勝手な偏見からくる言いがかりに、内心激怒していたが、ここで感情に任せて裁くと悪評が広まり問題となるため、我慢することにした
「そこの君。店主はこう言ってるが?」
「俺は絶対にやってない! ただの言いがかりだ」
「そうか。わかった」
ライルは見物人と、店主を呼び寄せ子どもの周りに壁を作ると、身体検査を行った。
「ばかな!商品がでてこないではないか」
商人は驚き慌てていた。
「店主。俺に嘘をついたな」
「いえ、めっそうもありません! ただの思い違いでございます」
「そうか。だが、子どもが正しかったというのは事実だな。これは子どもに賠償が必要ではないか?」
「わかりました」
商人は悔しそうに俯くと了承した。ここで、領主家の人間相手に騒ぐのは、得策ではないからだ
子どもはライル立ち合いのもと、賠償金をもらった。子どもがシスターにどう説明しようかと悩んでいたので、少し待ってもらい、一緒に孤児院までいくことにした。
次は、子どもを槍で殴ろうとした、衛兵を裁くことにする。
「衛兵。なぜ子どもの言い分を聞かずに、子どもだけ連行しようとした」
男はライルの立場を知り、顔を青くしていた
「畏れながら、卑しい孤児のこどもが現場にいたのです。なら答えは決まってるも同然です」
「証拠ではなく、自分のくだらない価値観に元づいて仕事をすると言うのだな。ならお前は領外追放だ」
「なぜですか!」
「証拠に基づかず、自分の偏見や価値観で動くゴミなど、必要ない。そんなこともわからないのか?」
ライルはゴミを見るような目で衛兵を見下していた
ライルにバカにされた衛兵はプライドだけは高いらしく、先ほどとは違いライルを睨みつけていた。
「越権行為だ! このことは当主様に報告するぞ」
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