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湖に戻ってきたぷん座右衛門が刀を持つ連中の中をかき分け先頭に立つ男に話し掛ける。




「お前が長十郎か。」



「何者だ。」



「我が名はぷん座右衛門、お前の悪行を止めに来た。」



「ハっハっハっハ、笑わせてくれる。たわけが、この人数相手に何が出来る?こやつらはただ腰に刀を差しているだけの輩とは違う。みな腕はいっぱしの刺客よ。」



「言い残すことは、それだけか?」



「………………おい、やれ。」




長十郎の合図と共に連中の中の三人がぷん座右衛門に斬りかかる。それをヒョイとかわしながら連中の手から刀を取り上げると、クルっと刀を反転させ、首に峰打ちを食らわせた。気絶した三人に続き、また刺客が三人一歩前に出る。




「無駄な血は流したくない、死にたくなくば、ここを去れ。」



「たかが運よく三人やったところでいい気になるな。ぷん座右衛門と言ったか?お主、この鳥の羽が一体いくらになるか知っているか?国を幾つでも買えよう。お主も欲しいんだろう?少しばかりなら、分けてやっても良かろうて。」



「汚いのはその顔だけにしておけ、長十郎殿。」



「む………無礼者め、せっかくこのわしが優しくしてやればいい気になりおって。」



「優しく……?貴様は自分が優しい人間だと思っているのか?」



「当たり前だ、でなきゃこんなメス鳥一羽、生かしておかんわ。」



「なぜそいつの兄を殺した。」



「なぜか?そんな事決まっているだろう、羽だよ、羽。まぁ値が付くのはメスの方だが、交換条件でな。」



「………交換条件?」



「ある晩にな、メスの方を捕えてその羽をむしり取ろうとしたらオスの方が現れてな。我らをせん滅しようと言うからメスの首に刀を突き立てて脅したんだよ。動けば殺すとな。」



「そしてその妹を開放する代わりに自分をどうにでもしろと言われたのか。」



「………あぁ、お望み通り、その羽を引っぺがして殺してやったわ。そのメスの目の前でな。」



「最後に言い残すことは?それくらいの情けはかけてやる。」



「………小僧、笑わせるなと言ったろう?飛ぶのは貴様の首だ。」




縄で縛られたスズランが言った。




「もういいから、逃げて………。人間は嫌いだ、憎い、でも……あんたの事は嫌いじゃない。だから死なないで…………」



「うるせぇ、黙れ!!」




スズランを縛り上げる縄を持っていた刺客の一人が彼女の傷口を鞘で思い切り突いた………その激痛でスズランが悲鳴を上げた次の瞬間、その男の首が宙に飛ぶ。




「そいつに触んじゃねぇ…………」




 返り血でぷん座右衛門の浴衣の袖が真っ赤に染まった。





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