第10話 迷い

いくつかメールのやり取りをして、

年の瀬の30日の夜に昔一緒に遊んでいた共通の友達も含めて会うことになった。


いきなり2人きりとか、何を話せばいいかわからないし、周りに他の人がいることで自分の理性が保てそうな気がしたからだ。


30日と言えば、ほぼ毎年同窓会のような飲み会が催されているから、とくに怪しまれることもない。帰りが遅くなっても、次の日子供の学校もないし大丈夫。うん、大丈夫。


って、なに?私、浮気するためにアリバイ作ってるみたいじゃない。



康之に怪しまれないためにいろんな理由を考えている自分がおかしかった。


康之には、大介の話をした事が何度かある。

でもその度に、気のない返事しか帰ってこないし、過去になにがあったかなんて気にしていないようだった。

今回のことは、康之に話した方がいいのだろうか。黙って行くこともできるけれど、それはしたくない。

でも正直に話す事で反対されたら?

それもそれで嫌だ。

康之には後ろめたさしかないが、大介には会いたい。

康之に怪しまれず、でも嘘をつく事なく伝えるにはタイミングが大事だと考えた。

あまりに早く伝えると、勘繰られるかもしれない。それならば1週間ほど前になってからら告げよう。そうしよう。

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