第9話 返信

「年末に帰ることになってね。その時に会えませんか?」


返事を打って、間もなく返信がきた。

心臓がドキドキと音を鳴らすかのように激しく鼓動するのがわかった。息が浅くしかできなくて指先が震えている。


なんでこの人は私に会いたいと言っているのだろう。

でも、会いたい。


正直な気持ちだった。


ずっと、会いたくてたまらなかった。


結婚もして、子供もいて、毎日自分は幸せだという実感があるのだけれど、

いつもどこか胸に穴が空いているような、そんな感覚で生きてきた。


私の体の一部をどこかで落としてきたような、そんな感覚。

それは、康之でも埋められないそんな感覚だった。


会いたい。

会いたい。

会いたい。






でも、会っていいのだろうか。

会ってしまったら、今まで築いてきた何かが壊れそうで、そんな怖さもあった。


でも、会いたい。


会えば恨み言しか言えないかもしれない。

泣いてしまうかもしれないけれど、

会って話してみたい。

今まで大介はどこで何をしてきたのか。

今、幸せなのか。

そして、私は今幸せに暮らしていることを

知って欲しい。

それは安心させたいからではなく、

ただの意地だ。

大介にフラれてから不幸せになったと言うよりも、大介より、素敵な人と出会って幸せなことを伝えたい。

別れて正解だったと、無理に笑ってでも伝えたい。


「わかりました。いつにしますか?

夜であればいつでも大丈夫です」


康之はいつでも快く出してくれるだろう、という自信があった。

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