第8話 夫
「何かあった?」
急にリビングを離れた私を心配して夫が寝室に様子を見に来てくれた。
「ううん、なんだか眠くなっちゃったから、ベッドに来ただけだよ」
なぜかとっさに嘘をついた。
大介から連絡があったことを知られてはいけないと思ったのだ。
「あぁ、そうなんだ、ゆっくりおやすみ」
そう、いい終えると、寝室のドアを静かに閉めてリビングに戻っていった。
5つ歳上の夫、康之とは大介と別れてしばらくの後、友人の紹介で出会って、すぐに付き合い始めて、2年ほどで結婚した。
付き合いだしてすぐの頃は、いつでも会える距離に恋人がいると言うのが不思議な気もしていたが、すぐ慣れた。
大介のように、自分の知らない街の見えない暮らしに、不安になることもないし、康之はいつも優しく穏やかで、
愛の言葉こそ口にはしないが、
愛されていないのではなんて、不安になることは今の今まで一度もなかった。
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