エピローグ


「教科書がない!」「上靴がないのー」「あれーあたしのノート?」「リラックマの靴下どこー」

 いつもの朝/月曜日はいつもより騒乱状態。

 ランドセルを漁る音/ランドセルをひっくり返す音/トースターの音。

「パン、焼けたぞー。取りにこーい」

 朝食はパン&スクランブルエッグ&ブロッコリー。

「いつも言っているでしょっ! 前の晩に、準備、する!」

 母親役=お姉さんのモモ。

 衣替えしたばかりの夏の制服&名札&黄色の帽子。準備完了。サナが来ても母親ポジションは変わらず。

「いってきます」

 サナ/一足先に=バスの時間。

 騒々しい朝/いつも通りの平和。

 テレビ=時計代わり。ニュースを見ているのはニシだけ。

 結局、あの事件は「潰瘍監視のセンサーの故障」と報道された。記者会見で常磐の広報係が頭を下げ、わずか2分のニュースになっただけだった。

 社員全員に箝口令かんこうれいが敷かれた。もちろん、契約社員のニシにも。

 潰瘍で王様気取りだった魔導士は常磐本社に連行された。もちろん表沙汰にならず。法律で裁けないと思う反面、常磐が彼に何をするのかとも聞けず。 

「いってきまーす」「いってきます」「バイバイ」「いってますー」「それじゃあね」

 子どもたちの出発。

「いってらっしゃい」

 穏やかな朝のスタート。願うのは平和と平穏。それだけだ。


第一章 第一話「不逞魔導士事件」完

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