ネット依存症

かわら なお

 

ただ承認欲求が前に出過ぎただけだった

誰かの憧れになりたかったんだ

誰かに認められて憧れられるそんな物語の主人公に


劣等感が生み出した嘘まみれの身体に僕は飽き飽きしていて

いち早く生まれ変わりたかった

僕にとってネットはそのための手っ取り早い手段でしかなかった


誰かに憧れられてキラキラしたところに立てるその場所に僕は行きたかった


現実は甘くないと僕を突き立てる

でも大丈夫

不思議とそんな自信はあった


僕はネットに張り付いてあらゆる人間を見て研究した

どんな人間がどんなふうに考え生きて生活しているのか

僕がなりたい憧れの存在とはなんなのか


そしてたどり着いた唯一無二の僕

僕の憧れを全部切り貼りした集大成

最高傑作だった


誰も僕を見てくれなかったけどそれでもよかったんだ

だって僕は憧れになれた

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ネット依存症 かわら なお @21115

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