第204話 上司を置いて逃げていくぞ

【えらい事だ!】

【どどどどうする?このままでは不味過ぎるぞ!】

【こ、ここは・・・・一旦体勢を立て直す(キリッ)!】


【【おお!!】】


 俺達がおっさん自称全能神の相手をし、こいつがぶっ倒れた事で3体のジジイ自称神どもが何やら体勢を立て直すという名の元に、逃亡を図ろうとしているようだ。


「さて、こいつをどうするのじゃ?そうじゃいい考えがあるのじゃ!だがそれにはこいつに触れねばならぬ・・・・仕方ないのじゃ!天使の癒しなのじゃ!」

 何だよ天使の癒しって。


 するとどうだ、汚物まみれで異臭を放っていたおっさんからまず臭いが消え、その後汚物が消えた。


 何故先に臭いが消えたのかは謎だが。

 汚物が先でないと意味がなさそうだが、そこは・・・・突っ込むのはよそう。取り敢えずあまりにもすさまじい惨状だったのが何もなかったかのようになったんだ。


「何だよ浄化の類か?」

【異世界あるある!】異世界ではスキルに浄化とかあるんだよな。

 魔法の場合もあるが。

 あると非常に便利で、水や火魔法と共にあるとないとでは雲泥の差が出る・・・・出るよな?


 いかん、そんな事より今はおっさんの事だ。

 綺麗になったおっさんを天使だよな?木の葉ちゃんが踏んづけている。

 うーん、俺がイメージする天使とかけ離れた行動なのだが、マジで天使なのか?


「よし、これでこやつを操れるのじゃ。さて、逃げた3体を追いかけるとするか。」


 気が付けばジジイどもは消えていた。いいのか?


「ヤーナとやら、こっちに来るのじゃ。」

「え?私?」


 自分は関わる事もないだろうと思っていたのか、ヤーナは呼ばれて驚いたようだ。


「そう身構える事は無いのじゃ。クーンとやらもこっちに来るのじゃ。今からこいつの力を用い、3体を追う。追うというよりあ奴らの元居た場所へ向かうのじゃ。」


 つまり神の世界へ自力で行こうってか?


「ねえ、どうしたらいいの?」


「まずは3人で輪になり手を繋ぐのじゃ。」


 おっさんを囲んで手を繋ぐとか、中々にシュールな場面だ。

「繋いだぜ!」

「次はどうするの?」

「これと繋がらねばならぬ。踏むのじゃ。」

 へ?踏む?俺はおっさんを踏む趣味はねえ。というか人を踏むってどうなんだ?


 あ、ヤーナは躊躇いを一切見せずに踏んだぞ。

 ある意味すげえな。


 俺も踏んでみた。キモかった。

「では最後の仕上げじゃ。」


 仕上げって?

 そう思ったが、木の葉ちゃんは一度踏んずけた足をどけ・・・・おっさんの顔を踏みやがった!

 流石に人の顔を踏むとか・・・・


 いや待て!なんか変だぞ?

 何で木の葉ちゃんの靴が見えないんだ?見えるのは足首だぞ?


 それを意味する所・・・・

 おっさんの顔を木の葉ちゃんは踏み抜いていたって事だ。

 これ死んだんじゃねえの?


「おいおい、いくらなんでも殺されるような事をしたとは思えねえが・・・・」

「何を言うておる。人を基準で考えるからそう思うのじゃ。見るのじゃこやつの顔を。これが死にゆく人に見えるか?」


 むしろ恍惚とした表情に見えなくもない?


【木の葉ちゅわ――――んに踏まれるとか、ご褒美なのだ!】

 あ、生きていやがった。つうかどうやって喋っているんだ?


「では神界へ向かうぞ。」

 いきなり天界を超えて神界とか。


 辺りが眩しくなり目をあけていられなくなった。


 暫くして光が収まったようで、恐る恐る目をあけると・・・・

 俺が以前来た事のある空間だった。


 つまりジジイどもが居た場所って事だ。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る