第199話 根がうねうね動き始めた

 こんなに深く穴を掘ったわけだが、今の所普通に呼吸ができる。

 よくよく考えたら、こんなに深い穴を掘った事は幾度もあるが、自分が降りた事はなかったな。

 だから呼吸が出来る事に疑問を感じないままここまで来たのだが、いざ根っこを見たら、唐突に違和感を覚えたのだが、その時に気が付いた。


「何?何故この深さで呼吸ができるのかじゃと?そんなの我が空気を送り込んでいるからに決まっておろう!」


 天使ちゃん・・・・姿はどう見ても魔法少女のそれだが・・・・木の葉ちゃんはそう言い切った。


 そうか、木の葉ちゃんがそんな事を・・・・

 その後、ヤーナの発言でこの件に関してはどうでもよくなった。

「ねえ、あれ動いているわよ!」

 あれと言ってヤーナが示したのは、世界樹の根っこ、その先端。

 何やらうねうね動いているんだが。


 そして暫くうねうねしていたが、突然根っこの先端がこっちを向いた!

 何やら顔に見えなくもないその姿。

 目に相当する部分からは何や眩しい光が辺りを照らしている。

 その照明が俺達を今照らしている。おいおい何だよこれ。

 何で根っこにこんな装備があるんだ?これ、もしかして口の部分に見える場所がバーッて開いて中から何かやってくるんじゃねえか?

「おい、あれって口に見えなくもないが、あそこから何か出てこないだろうな?」

「心配ないのじゃ。我がついているのじゃ!」


 出て来るのかよ!そしてなんだよ自信の根拠は!


 エルフの2人は信じられないものを見るような感じで呆然と見つめている。


 今まで活動の中心だった世界樹の、こんな知られざる一面を見てしまったんだ。かなりショックだろうなあ。


 おっと!やっぱり口があいたぜ!

 するとパワードスーツを着込んでいるように見える人型ロボットか?生身の身体かはわからんが、3人?体が歩いてくる。

 パワードスーツと言ったが、全て何かで覆われていて、もし生身の人間だったとしても肌は一切露出していない。


 おいおいいここは剣と魔法の異世界じゃなかったのか?これじゃあまるっきりカテゴリーが違うじゃないか!

 SFか?この世界はSFカテゴリーだったのか?

 俺は誰とはなしにそう訴えていたのだが、それが伝わったのか伝わらなかったのか、


【あ、やべ!天使ちゃんがマジいるじゃないか!】

【うへ?うわ!何でここに居るんだよマジ天使ちゃんだった件。】

【しかもマジカルこのちゃんじゃないか!撤収撤収!急げ!】


 おい、何やら戻っていくぞ!

 俺はよせばいいのに、

「させるかよ!」


 その直後に【土】を発動、開いた口をスキルで塞いでやった。

【ぎゃあ!何晒しとんじゃワレ!】

【いや待て晒しとんのはワイ等の方やで。】

【ここは天使ちゃんに謝るしかあるまいて。】

 何だよこの茶番は!



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