第186話 時空の裂け目

 クーンがこの世界に転生する事になったきっかけ。

 それはとある神が時空の裂け目を修復している時に起こった、タイミングが悪い不幸な事故だった。


 そして今、時空の裂け目にクーンは紛れ込んでしまい、こうして神々の居る場所へやってきた。


【時空の酒場・・がこんな所に影響が?】

【裂け目が酒場になっておるぞ!お前さん酔っぱらっておるな?】


【いやまて、しかし何で生身の身体でここに入り込めるんだ?いくら時空の裂け目に偶然紛れ込んだとしても有り得ねえだろう!】

【・・・・おい、あいつ・・・・ダイス持っていたよな。】

【あ?ダイス?そう言えばあったな、失くした事故。】

【あいつ、ダイスを手にしたまま向こうに居ちまったからなあ・・・・だから生身で此処にやってこれたのか!】


 俺はこいつらの喋っている言葉を黙って聞いていた。

 何か俺の今後に生かせられるんじゃねえ?若しくは日本に戻る事が出来るんじゃね?とお若干期待しての事なんだが。

【言っておくがお前さん、日本で死んでから相当年月が経っておるからの?間違っても日本では元の身体には戻る事はできんぞ?当然ながら生まれ変わるも事はできんぞ?】


「もう10年以上経ったんだよな?なああんた等って神なのか?そして時空の裂け目とかなんだよ!確か以前にも変な事を言っていたよな?時空の裂け目を修復とか、何だよそれ。もしかして今いる世界って相当やばい状況なんじゃねえか?」


【・・・・知ってどうする?】

「折角生まれ変わったんだ!生まれ変わった世界を救っちゃ駄目なのか?」

【おい、こいつマジだぞ?それにだ・・・・確かに儂らの持っておるアイテムであればあの世界を何とか救う事も出来るのだが、儂らは直接干渉できんのだよ。】

「・・・・じゃそのアイテムを今すぐ出せよ!そして床に置け!」

【・・・・そんな事をして問題ないのか?】

【分からんが・・・・そうじゃなあ。直接干渉はできんが、確かに何とかなるアイテムはほれこの通り・・・・ととっととと、落っこちとしちまったわい。】

 うわ!めっちゃワザとだろあれ。

 しかもなんか別のも落としたぞ?


 拾っとくか。


「なあ、俺はあんた等のせいで死んだんだよな。他にもなんか出せよ?人を死なせておいてよくばりとかは言わないよな?」


【うぐ!それを言われるときついのう。分かった、其方を勇者として「それは違う!やめてくれ!」あらた・・・・むう。あの出来損ない勇者は駄目だったが、其方だったら上手く出来ると思ったんだがなあ・・・・ほれ、これを持っていくがいい。】

 俺は何かわからん箱を受け取った。

【それはな・・・・うわ!お前さんどうやら時間切れのようだ!さらばじゃ!】


 何で勝手に・・・・うわ!視界が変に・・・・


 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・


「・・・・クーン、しっかりして!」


 うは?あれ?俺はどうしていたんだ?

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