第178話 メタボおっさんの酷すぎる仕打ち

「クーンとやらは知っているのか?あの愚か者は今から約20年程前、突如我らの住む土地にやってきた。」

「それは聞いている。勇者召喚とかでこの地に召喚させられていたと言っていたっけ。」

「人族はこの地を魔大陸と呼び、我等を魔族と一括りに扱っている。我等はエルフ族なのだ。ただ、ここに今集っているのは全員ハーフなのだがな。」

 おいちょっとまて?まさかとは思うが・・・・

「一応聞いておく、あんた・・・・ディアナとやら、あんた何歳だ?」

 俺はそうであってほしくはないと願いながら、聞いてみた。

「・・・・女の年齢を聞くとはいい度胸だな。」

「あんた19歳なんじゃないか?」

「何故わかる?」

「メタボおっさんは20年程前に勇者召喚で日本からここに召喚させられたと言っていた。で、あんた達の言い分を信じるならば・・・・」

「そうだ、20年前あいつはこの地に突如現れ、『俺は勇者だ!魔王は滅びろ!』と存在しない魔王と戦うべく俺はこの地にやって来たとかほざき、その後は何とかもてなそうとした我等エルフ族の女性をかっさらい、犯しまくったのだ。最初に犯されたのが我の母上だ。当然我があの男の最初の子となる。」


 俺はこの時初めて、この場にいるエルフが全員女である事に気が付いた。

 しかも10人や20人ではない。100人はいそうだ。


「今この場にいる全員ハーフって言ったよな。」

「その通りだ。我らは全員父を同じくする被害者女性の子だ。その被害はそこに留まらぬ。我らも被害を受けているのだ。何か分かるか?」

「え?経済的にか?片親に育てられるのって、この場合母親は一人で子育てをしないといけないという意味でだが、そういう事か?」

「・・・・人族と一緒にするでない。我等はこの地で自給自足できている。それに多種族との取引で潤っている故経済的には苦労していない。」

 じゃあなんだ?ここでヤーナが俺にそっと耳打ちを。

『ねえクーン、今この場にいるエルフ族は全員女性よ。』

『それは今聞いた。だから何だ?』

 俺は分からなかった。思い込みというのか?何かの常識が邪魔をした様だ。

『たぶん・・・・彼女達妊娠できないわよ。』

 おいコラちょっと待て!

 動物ではよく?あるよな?

 ライオンと虎を掛け合わせたライガーとかいうのを人為的に生み出したと、昔何かで読んだ事がある。

 しかしそのライガーというのには生殖能力がなかったとか。

 異種間の繁殖にはそんな弊害があるのか?

 だが物語にはハーフでも子を成せていたぞ?

「一つ言っておく事がある。あいつは我を自分の子と認識していた。にもかかわらず15になって女性として成熟してきた頃合いに犯された。何年にもわたり何度もだ。あいつは数百人を相手に一度犯した相手は必ず妊娠させているケダモノだが・・・・あいつの子である我等は誰も妊娠できなかった。あいつの子なんか妊娠したくはないが。それに同族と交わっても駄目だったのだ。」


 思い、重すぎるう。俺にどうしろと?

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