第162話 こうなる予感はしていたんだよ

 目の前に見えるポチの姿が次第に大きくなり、やがてほぼ並走状態となった。

 ただ、明らかにポチの方が速いので、これをどう乗り越えるのか、これが所謂最大の山場という奴だな。

「ちょっと早くしなさいよ!」

 うわ!まさに俺が意を決してポチの背に飛び移ろうとしたタイミングで、ヤーナからの催促が!ついでにボディータッチが!

 俺はバランスを崩し、その時無意識にヤーナを掴んでしまったようだ。

「きゃああ!!!!」

 

 


 俺がヤーナを掴んだがために、ヤーナもバランスを崩したようだ。その後はまあ察してほしい。


 ほう、これがスカイダイビングという奴か。しかもパラシュートはない。

 つまりあれだな、俺とヤーナは自由落下中だ。ゴーグルもないから前が殆ど見えない。だがヤーナには見えているようだ。何故だ?


 さて問題だ。どうやって着地を決める?

 ディーデリックやサスキアも同じような気持ちだったのだろうか?

 注:64・65話参照


 俺は今【土】を用いるのに適した物は持ってないんだよな。

 俺は土が無いとスキルが発動しない。


 そしてヤーナには精霊がいるから風の精霊にでも助けてもらっているのだろう。思ったより落ち着いているようだ。


【全く世話の焼ける主だ。】


 んだと!ごるああ!・・・・・・・・・


 思わず反応しちまったが何の事はない、ポチが俺達より速く落下し(こういうのは落下と言わないが、クーンにはそう思えた様子)やがてポチの背に到達する事が出来た。


 俺はヤーナを抱きかかえるような格好で、ポチの背に乗っかった訳だが、そ、その、不可抗力なんだ!

 絶対領域どころか、スカートの中身が丸見えなんだ!その代わり顔が見えない。

 つまりヤーナのお召し物はスカートだったんだよ!そしてそれが豪快にめくれ上がり、布地が顔を覆うように・・・・ってあれ?もしかしてヤーナは気を失っている?

 俺はちょっとだけヤーナのおみ足と見てはいけない(下着は穿いている!)部分をちょっとだけ見て、スカートを元に戻しておく。何だよあの脚は!反則じゃねえか!何で俺より明らかに長いんだよ!俺のほうが背は高いのに!

 で、こうして見るとヤーナって美少女だよなあ。喋るとツンだが。

 だがあれでデレると破壊力抜群なんだよなあ。

 まだヤーナは気が付かない。


 一寸だけ!チョットだけならいいよな?

 そう、俺はヤーナの自己主張を凝視していた。

 そして思わず右手がその自己主張に・・・・触れる前にヤーナが目覚めた。

 あ、これはやばい奴じゃないか!考えろ俺!俺はできる子だ!この場を乗り切るぞ!

 俺は咄嗟に右手をヤーナの頭に持っていった。不自然じゃないよな?

「おお、気が付いたか!心配したんだぞ。」

 そのまま髪の毛を整えてやる。

 櫛がないから手でさわさわと。


「え?あ、あれ?此処は何処?」

 どうやらまだボーっとしているようだ。ごまかし成功!ミッションコンプリートだぜ!

「ここはポチの背だ。」

「ポチの背?クーンにしては気が利くわね。デートにこんな場所を用意するなんて。仕方がないわねえ。」


 何が仕方ないんだ?そう思ったが、そのまま俺の顔はヤーナの自己主張に埋められてしまった。

「ふん!サービスよ!」

 よくわからん。それに記憶が混乱しているのか?


 この後落ち着いた俺とヤーナは、ポチの背に乗り何処までも・・・・何処に行くんだっけ?旅立ったのだった。


 え?終わり?マジっすか?


 注:まだ終わっていません。

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