第163話 魔境へ

 ポチの背に乗り魔族の精神体(仮称)を再び追いかけるも、このままでは魔境へ向かってしまう!

 いや、既に向かっているのだが、そうじゃない。魔境へ突入間近なんだよ!

【このまま魔境へ入っていくようだな。】

 ポチも気が付いたようだ。

 上空からどうやって見分けているのか知らんが、ポチにはわかるようだ。


「やっぱり魔境にいるのよね。」

「まあそうだろうな。もし魔境の向こうへ行ってしまったらヤーナはどうする?」


 因みに今は緩衝地帯だ。もうすぐ魔境。

 魔境もそれなりの広さがあるのだ。

 だが、緩衝地帯に比べればわずかなもんだからな。

「そうね、クーンが行くなら私も行くわよ。」

 このままではヤーナを危険な目に遭わせてしまうな。

 どうする?

【どうやら目的地は魔境らしいな。】

 お?変化があったようだ。ポチの高度が下がっている。そしてヤーナの事を考える余裕が無くなってしまった。

「ポチ、魔族のアレは下に向かっているのか?」

 アレとは精神体の事だ。


【どうやら本体が近くにあるようだな。どうするのだ?】

 当然本体とご対面だな。

「分かり切った事を。当然捕まえる!ポチ、追いつけ!」

 ぽれはポチに命令した。

 それに応えるかのようにポチの速度が上がっていく。

「クーン、追いつくわよ!」

 そう言えばヤーナには見えるんだったか?精霊に教えてもらっているのか?

「ヤーナはどうやって確認しているんだ?」

「ジンの目を共有しているのよ。」

 おろ?そんな情報知らなかったぜ!精霊の目を共有かあ。

 俺もポチで出来ないか?

【言っておくが従魔では無理だ。】

 何とポチはただのトカゲではなく、スーパートカゲだった!


 注:未だクーンはポチをトカゲと思っています。


「何だよ使えねえな。」

【それより地面が近い。降りるぞ。】

 一寸待て!このままの速度で地面に降りるってか?


 俺は身構えたが、衝撃はなかった。

 ポチは上手く着地したようだ。

 直ぐにヤーナが降りる。

 俺も続くぜ!


 到着したのは魔境の外れだ。

 つまりすぐそこはもうポチ達の世界。

 そんな所に何で小屋なんか建っているんだよ!


 まあ小屋の中に魔族の本体があるのだろうが、お前の顔を拝んでやっから待ってろよ!


 そんな訳でヤーナが小屋の入り口で止まった。


「間違いなくこの中よ。どうするの?」

 ドアを開けたらドカン!とかないよな?

「精神が戻っても、いきなり動くのは厳しいだろう!このまま突入する!」

「分かったわ。ジンが何も言ってこないから大丈夫だと思うけど、気を付けてよね!」

「まあ当たって砕けるぜ!」

「砕けてどうするのよ!」

 俺はドアのノブに手をかけ、そのまま開けようとしたが・・・・鍵がかかっているのか?

 回しても駄目だ。押しても引いても駄目。

 ここはあれだな、破壊するしかないな。


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