第156話 魔道具を探す準備
ジンですら逃げ出す事態となった訳だが、このままジンの案内で魔道具を見つけ出し、使用人に扮した魔族、それとも憑依だったか?見つけ出しそれぞれ対処する必要がある。
このままジンに案内をさせると、折角現世に留まる事が出来たのに消滅してしまうのではないかと俺は考えた。
「ヤーナ、このままジンを外へ連れ出すと、同じ事になるよな?」
「シルフが盾になっている間に辛うじて逃げ出せたって事は、そうでしょうね。クーンはどうするつもりなの?」
精霊が何の縛りもなく行動するからこうなったんだ。自由に動きまわる事が出来る代償として、こういった時には脆いという事だ。魔道具を作り其処に精霊を宿らせ、俺達が持ち運べば何とかなると俺は考えた。
以前は魔族が魔道具を持ち込みあの女が操られ?発動させたせいで、設備に宿っていた精霊が暴走、その結果炉が爆発。その威力で周囲が吹き飛んだ。
そう言えばここの炉って、精霊はまだ宿ってなかったよな?
王都の炉には既に精霊が宿っていたりする。
暫定ながら白磁器の生産も開始しているんだ。
俺とヤーナ抜きでもできるよう、クランメンバーのうち白磁器を作成する才能があった連中に託した。
絵付けはヤーナとはまた違うが、絵心のある奴を見つけたのでそれも任せている。
こっちの方は未だ問題が山積みで、そこまでに至っていない。
「今から魔道具を作り、ジンに宿ってもらう。そしてそれを運んでジンに案内してもらうつもりだ。」
「そんな方法では以前のように精霊が暴走してしまわないの?」
「魔道具が発動していなければいいんだ。だから発動させる前に見つけ出す。いや、既にジンが見つけているから、奪うか無力化すればいい。」
「そう簡単にできるかしら?既に相手は異変に気が付いているでしょうに。」
「使用人に紛れているのだったら目立ちたくはないはずだ。何故今回こうなったのかはわからんが、結界みたいにしていたのか、たまたま魔道具が起動してしまったのか。実際見てみないと判断できないな。」
「まあいいわ。クーンには何か分からないけれど確信があるんでしょ。シルフの犠牲を無駄にしたくないし!」
ヤーナに火が付いた。
俺は急いで外に行き、【土】でなんちゃって【扇風機】を作った。
動力は勿論精霊だ。だから羽がきちんと回って、羽の周囲に網のような囲いを設け、指が届かないようにしただけだ。見た目は扇風機なんだが。日本にいた時と違い、全て土製だ。誰でも扱えるようにするには魔石を用いるが、今回は探索に必要なだけでそこまで求めていない。だからと言って妥協はしたくない。
その結果、軸なんかは強度をマシマシにしているし、羽はできる限り薄く、8枚にしている。
扇風機と言うよりサーキュレーターに近いかもな。
【これに宿ればいいのか?】
ヤーナの元ですっかり回復したジンが扇風機に入り込む。
【これはなかなか良いものだ。】
気に入ったようだな。ジンは風の精霊だが、こうした風を発生させる道具は能力が被るからどうかとも思ったが、よかった。
俺は扇風機を手にし、ヤーナと共に外へ出る。
【まずは向こうに行ってもらおう。】
俺とヤーナはジンの示す先に向かった。
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