第148話 わんこ部隊による王都来襲(意味深)

 王都と元3領の連絡に、わんこフェンリル部隊が頑張ってくれている。


 俺は早速奴隷を寄こすよう連絡をさせている。

 最近は僅か1日足らずで往復できるからな!

 便利なわんこ達だ。

 シロにもずいぶん城へ行ってもらっているからな、シロ・・なだけに!うへ!

「ねえクーン、何だか寒いわ。」

 ヤーナがまたもや意味深な発言を!!

 そうじゃなかった、俺の思考能力が盛大に滑ったようだ。

 内緒にしておこう。



 天ちゃん天馬は沢山の人間を移動させるのに適している。

 台の上に席を設け、それを曳かせるだけでいいのだ。

 やはり1日で王都と元3領の間を移動できる。


 問題はポチドラゴンだ。

 今も魔境の向こうで活動しているはずだが、今はどうしているのかわからん。

 どうやらシロと天ちゃんとは何か違うようなのだ。

 やはりあれか?トカゲだからか?

 アイツとだけは中々連絡が出来ないんだ。何でだ?


 そうだ、マースに聞いてみよう。


 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・


「と言う訳だマース、今すぐ教えろ!」

「クーンさん唐突ですね。そもそもポチさんはクーンさんが自力で・・・・あれ?そういえばクーンさんって、一つスキルですよね?どうやってテイムしたんですか?」

 マースよ、聞いているのは俺なんだ。質問に質問を返されても困るのだが。


「そういえばどうだっけ?覚えてないぞ?」

「ではいちいち気にしては駄目ですよ。本当にポチさんが必要になれば、きっと向こうからやってきますから。」


 まあいい。

 それより王都への連絡だ。

 シロは便利だ。

 地脈に潜って移動してもらっているが、手紙も一緒に運んでくれる。

 今日も行ってもらった。

 今回の手紙に記載した内容は、奴隷の引き渡しについての要望だ。ついでに親父達の手紙も運んでもらっている。

 一体何を書いて送りつけたのかは知らんが。


 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・


《王都》


「何だこれは。奴隷をよこせだと?意味が分からん。」

 国王セバスティアーンである。

 たった今目の前に出現したフェンリル。

 クーンから託された手紙を渡され、困惑しながら読んでいる。

「貴方、今度は何ですの?あれほど理不尽な扱いは駄目だと言ったはずですよ?」

 国王の妻ステファニーである。

 2人で過ごす時はいたって普通の物言いだったりする。


「いや待て、それは違うぞ?あの不良債け・・・・将来のある有望な若者が、未開の地へ自ら行きたいと行動したのだ。それを止める権利はない、そうだろう?」

「そんな屁理屈が通用する相手とは到底思えませんわ。現に幾度となく送られてきた手紙を読めば一目瞭然。」

「し、仕方が無かろう!あれらの親は伯爵とはいえ、わが国にとっては貴重な存在なのだ。下手に機嫌を損ねてしまえばどうなるか、わかるだろう?」

「今更ですわ。先の手紙には新領地への賭博の解禁の要望でしたわよね。今回は魔族と関わった元冒険者達、つまり奴隷の新領地への使役許可。その前はなんでしたか?」

「テイマーの移住だ。既にマースと言うテイマーがいるはずだが、一体何をするつもりだ。それに更なる職人をよこせと言う話だ。」

「金銭の請求はないのでしょうか?」

「それはない。クーン自身、金には困っていないだろう。困った・・・・良かれと思い、盆暗共が旅立つのを放置したが、こんな結果になろうとは・・・・」

 セバスティアーンは手紙をしたため、フェンリスに託す。

 勿論クーンの要望はすべて受け入れる。


 それに総督に任命した3名の手紙だ。

 これも頭が痛い。


 そして最も恐ろしいのがあのフェンリルだ。

 何せ建物の中だろうとお構いなしに突然出現する。

 クーンに知られると、非常にまずい話をしている時に限って出現するのも恐ろしい。

 正に王都来襲だ。

 時に複数のフェンリルがやってくると、心臓が止まりそうになる。


「仕方がない。ディーデリックとサスキアに頑張ってもらうか。」

 最近2人は新領地と王都の橋渡しと言う役目を負って頑張っている。


 2人は今、新領地に関するあらゆる書類の作成に関わっている。

 税に関する事や治水に関する事、治安の問題や採掘に関する決め事等。

そういった類の決め事を、時に3人の総督と共に決めている。


 これを決めておかないと後々苦労する。

 そう、これこそが3人の総督からの要望。

 尤も元となる制度などは既にある。それを適した内容へと変更する。


 こういう時は温泉でゆっくりしよう。

 そう心に決めた国王だった。

 だが・・・・

「奴隷の引き渡しをするまで駄目ですからね。」

 先に王妃が温泉に。


 鉱山送りにしている連中もいるっていうのに。

 全くもって・・・・


 自らまいた種故、誰にも愚痴る事が出来ない国王だった・・・・


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