第149話 奴隷の到着。豚も混じっていた。
数日後、奴隷が到着した。
奴隷の中に拠点や工房を破壊した女がいた。
俺はこの女と会った。面と向かって言葉を交わすのは初めてだったが。
「あ、その、ご、ごめんなさい!!!!何故あんな事をしたのか、今以て分からないの!あの温泉は私も愛用していたのよ!信じて頂戴!」
この女はクラン【一騎当千】に所属し、しかもダンジョン遠征で中心的位置付だったパーティー【大胆不敵】のメンバーだ。
半数しか戻ってこなかったんだよな?
そう言えば残りのメンバーって結局どうなったんだ?死んだのか?
俺には直接の関わりが無いから無視していたが、間接的には関わらざるを得ないのか?
それにこの女、温泉の常連客だったとか?
冒険者もよく利用していたはずだ。だからこの女が利用していても不思議ではない。俺もわざわざ誰が客かなんて、気に留める時間が無かったしな。
値段はぶっちゃけ庶民的だったから、誰でも気軽に温泉を利用できたんだよな。
白磁器で儲けていたから、温泉の値段はまあサービスみたいなもんだ。
後は宿のランクによっても値段の設定を変えていたからな。
庶民には質素な、但し機能的には文句を言わせぬ設備を揃えていたから、お値段以上な部屋を提供していた。値段が高い部屋にはこれでもかと言わんばかりの贅を尽くした作りにしていたはずだ。
何せ値段の高い部屋には温泉を引いていたからな。
貴族に好評だった。
トイレは全ての客室に完備だ。
今は以前の建物より立派にすべく、職人に頑張ってもらっている。
いかん、それよりこの女だ。
自分は被害者みたいに装っているが、実行犯だからな。
結局国が色々調べたようだが、わからずじまいだったらしい。
もしかして何かを把握したのかもだが、俺は知らされていない。
まあこいつを確保した前後での調べで、魔族が関わっていると確信はしているんだが。
俺は目の前の女に質問をする。
「俺は破壊された建物の所有者だ。温泉も俺が用意した。なんであの場所で魔道具を使ったんだ?」
女はきょとんとしている。もしこれが演技だったら女優になれるんじゃね?
「し、知らないわ!魔道具は色々聞かれたけれど、私は知らないのよ!そ、そう!ダンジョンの74層までは覚えているのよ!ああ!今になって何故思い出すの!誰かがやってきたのよ!リーダーが接触したわ!その後は覚えていないのよ!」
俺は同行していたフロリーナに女を頼んだ。
どうやら取り乱しているようだから、フロリーナのスキルで何とかしてもらおうかと。
何で今頃新事実が?
まあ今更どうでもいい事だが。
今はこの女の有効利用だ。
あの盆暗共のうち、女の世話をさせよう。
色々気になるからな。
俺はヤーナにその旨を伝え、フロリーナを経由し奴隷女に伝えてもらう事にした。
「クーン、また顔が酷いわよ!とんでもない事を企んでいるわね!」
また顔に出ていたようだ。
「まあヤーナ、盆暗相手に馬鹿正直な対応をする必要は無いだろう?【毒を以て毒を制す】、あれ?最近も同じような事を考えていた気がしたが?まあいいや。そういう訳で、あの女をあてがって様子を見る。」
まただわ、とか言いながらヤーナが去って行った。
さて、他の奴隷も色々利用しないとな。
注:147話に【毒を以て毒を制す】の記載あり
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3人の豚がいた。
何でこいつらを元領地に連れてくるんだ?
現在親父達3人の提督に集まってもらっている。
豚が来た事を知らせる為だ。
「クーン、一体国に何を求めたんだ?普通こんな事はしないぞ?」
そう言われてもなあ。奴隷を送るように伝えはしたが、まさかこいつらが来るとはこっちが驚きなんだが!
3人とはクツーゴ・リーバクーヨ・ギーコアの元領主の事だった。
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