第143話 意外としぶとい

 やかましい愚か者共が引き下がった。

 俺はそう思い安心していた。


 暫くは平和裏に事が進んでいたのだ。


 あの騒ぎの中、ヤーナとフロリーナの兄、そしてその兄弟姉妹は、既に出来上がっている領地内の建物を見て回っていたらしい。


「クーン殿、役場は如何なさいますか?」

「商人ギルドがないようですが?」

「教会をどう扱いますか?」

「元3領の中心地は如何なさいますか?」

「区画に不自然な箇所があります。」

「この地の新たな名は如何なさいますか?」

 ・・・・僅かな時間でよくもまあ気が付いたものだ。

 まだまだやっていない事は多い。

 むしろ殆ど出来ていない。

 出来ているのは道と用水路、そして俺関連の工房やクランの拠点等だ。

 道を作らないとどうにもならなかったうえ、早い者勝ちってなもので拠点や工房、そうそう、温泉複合施設もそうだが、一番と思われる場所をキープしたんだ。


 そして元領民が暮らせるだけの住居。

 水回りは俺が【土】で確保したから問題ないはず。

 水はけや流れがどうなるかは、住んでからでないとわからん部分があるから、今後の課題だ。

 何せ元々あった障害物が全て消え失せたから、今後水はけにどう影響があるかわからん。

 尤も実際は魔境側の方が高かったりするんだ。

 だから王都に向かっていく方が低いから、水の流れは基本魔境から王都側になるはず。


 但し領地の外は山があったりするから、必ずしもそうなるとは限らないのだが。


「ねえクーンどうする?お試しで任せてみる?」

 ヤーナが問いかけてくる。

 そうだなあ。話し合って決めないといけない事案もありそうだが、任せられる事案はやってもらうか?他の事は任せられないしな。

 恐らくだが、今ここにいる人達には何か事案を任せるとよいだろう。知識もあるって話だしな。

「何が出来るか知らんが、やってもらうか。」


 俺は紹介状を持ってやってきた、ヤーナとフロリーナの身内にその旨を伝えた。


「・・・・とまあ、そういう訳で、あんた達でできる事をやってみてくれ。但し、どう考えてもこれからここに住む元領民に影響があると思う事は、話し合ってからにしてくれ。そういう話し合いの場をどうするかも任せる。その間にあんた達の仮住まいは確保するよ。」


 THE、丸投げ!


 住む場所さえ確保できれば後は何とかなるだろう。


 さて、これで落ち着く・・・・

 そう思ったのだが、

「庶民よ、我々の知識を活かしてやろうではないか。」

「お金の管理は任せるといい。」

「お、女の管理をしてあげるわ!」

 まだいたのかこいつら。

 しかも一見、まともそうな事を言っているような気もしないではないが、こいつらに何の知識があるんだ?

 金の管理?その金は何処から集めてる?

 女の管理?女を管理するってどういう事だ?最後のは酷いな。

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