第131話 中途半端だが、王都に戻る事にした

 王都の工房が襲撃を受けてから、丸一日以上が経過してしまった。


 俺は落ち着いてきたので、フロリーナから話を聞く事に。


「主要なメンバーが全員クランの拠点から離れていたんです。」

「主要なって、そりゃあ残っていたのはマースとフロリーナ、ティーデとヒセラ、そしてディーデリックとサスキアだったからな。確かに他のパーティメンバーは主要と言うには経験不足だしな。」


「ちょうど王族であるディーデリックさまとサスキアさまは、城へ何かの報告に出向き、クーン様の双子の弟妹であるティーデさんとヒセラさんは、2人に付いていったのです。そして私は怪我人の治療をして欲しいと言う要請があり、拠点から離れていたのですわ。セバスチャンも私に同行しておりましたの。」


 王族2人は何の用で呼び出されていたんだ?報告だったか?

「何となくわかった。そして実力者が居なくなったクランの拠点に族が侵入したんだな。」


「侵入はしておりませんでした。結果的に温泉を利用していた客に紛れておりましたので。」


 客に紛れ、隙をついて魔増具を発動させたってか。

 だが炉は止まっていたはず。それがどうやって精霊に起動させたんだ?

 魔道具で精霊が暴走したのは何となく仕組みは理解できるが、そもそも炉を精霊が動かすよう命令されていないのに、何故召喚者・・・・この場合はヤーナだが・・・・の命令が無いまま動かしたのだろう。

基本的に召喚者に命令されないと精霊は動かさないはずだからな。

ついでに言えば炉に宿っていた精霊はヤーナか、ヤーナが指定した者の命令しか聞かないはず。


「魔道具で精霊が暴走した、と言うのはお伝えしましたが、その影響で精霊が炉を制御できなくなり、炉を起動させてしまったようです。」


「まあ後は実際に目で見て調べてみるよ。それに王都に残ったままのティーデとヒセラが心配だ。王族の2人は周囲が護ってくれるだろうし。」


 ヤーナはあの双子に助けがいるとは思えなかったのだが、黙っていた。


 従魔が傍に居る上に、それぞれのスキルが強力過ぎるからだ。


「何か言いたそうだがどうした?」

 俺はヤーナに聞いてみる。

「特にないわよ。それより出発するのかしら?準備は整っているわよ?」

「ここも襲撃されたらたまらんからな。ニールスにい達雲外蒼天には残ってもらうよ。」


 因みにクランに存在している他のパーティーは

【モフモフ】【一陽来復】【急がば回れ】【道化師の愛玩】【絶対領域】

 これらは皆王都を離れていたんだよな。


 そんなこんなで俺とヤーナ、フロリーナとマースは従魔を、わんこフェンリル部隊の能力である地脈を用い、一路王都を目指した。


 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・


 半日ほどでクランの拠点があった場所に到達した。


 何もなかった。

 見事なまでに吹き飛んでおり、炉のあった場所はクレーターになっていた。

 よくこんなので犠牲が出なかったな。


 取り敢えずディーデリックとサスキアと合流し、話を聞きたい所だ。

 ティーデとヒセラも一緒に居るだろうしな。




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