第129話 何故?王都から職人がやってきたのだが

 それなりに時間をかけて【土】で壁や住居等を作った。


 そうは言っても内装は【土】スキルでは限界があるので殆どやっていない。

 そう言うのは本職にやってもらう必要があるし、家具なんかも木で出来ていた方が良い場合があるので、一応【土】で作成できる部分は作ったが、椅子や机等は作っていない。


 ああ言った家具は木の方が良いだろうと。

 まあ俺の考えなのだが。


 そんな感じで大まかな部分が出来上がったのだが、何故か元々領地に住んでいた人々が毎日のように数家族ずつやってくるのだ。


 やってくるのはいいのだが、建物と棚、そして大まかな設備があるだけで、寝具なんかは無い。

 其れなのに・・・・

 そう思ったが、台車に荷物を載せてここまでやってきたようだ。


 だがドアすらまともに無いのにどうするんだ?


 そう思っていたのだが、ある日違和感に気が付いた。


 最初はクツーゴ領以外の、つまりはリーバクーヨ領か、ギーコア領の誰かなのかと思い、気にもしていなかったのだ。

 だが明らかに内装の職人と思われる人々が目立ってきた。

 おかしい。

 そしてその後に気が付いたのは、冒険者ギルドとなる建物。

 知らない間にそこが機能していたのだ。


「明日には支部として機能しますからね、急ぎましょう。」


 そう言って指示している女性がいた。

「ちょっとクーンさん、ここなのですがもう少し場所をずらしてもらえないかしら?実際に動線として駄目なのよ。」

 フスタ・ペイル女史。

 王都で冒険者ギルドの受付をしていたはずの彼女が、何故ここに?

「え?そんなに変?」

「この建物は今後多数の冒険者であふれかえる事が予想されています。大きな武具を持っていたりすると、ここが邪魔になるのですよ。」

 すっかり馴染んでいた。

 おかしい。

 王都には、この場所でこんな事をしているなんて知らせていないんだぞ?

 ティーデとヒセラにすら言っていないのに何故?


 そういえば、フロリーナとマースの姿を最近見かけていない。

 何処へ行った?

「なあヤーナ、フロリーナとマースってどうしているか知っている?」

 そう言いつつ、皆が避難している場所に留まっていたっけ?そんな気がしたが、

「何やら王都に戻ったみたいよ?」

 何故ヤーナが知っている。


 つまりはフロリーナとヤーナが王都に戻り、この地を復旧させている事を誰かに報告したんだな。


 それはいい。だがあの受付嬢、フスタさんがここにやってくるにはあまりにも早すぎる。

 他の職人もだ。


「クーンさん、そこは従魔の力ですよ。」

 マースが居た。

「もしかして王都から従魔を使って人を送り込んだのか?」

「ええ、今や王都はこの話でもちきりですよ。領地の再計画で特需だと。」

 そんな事になっていたのか?

 そしてその後フロリーナがやってきたのだが、更なる爆弾発言を俺に向かって投下し、俺は意識を失いかける事になるのだが、それは次の話。


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