第128話 住居を用意する

 翌朝、俺は温泉を掘りあてた場所を中心に、ここでも白磁器を作ったり他の事も出来たら、それに従魔の住まう獣舎なんかも用意しておこう、そう思いつき王都と同様の規模で思わず用意してしまった。


 何せ周囲は皆更地だ。

 道が通っている他は何もない。


 クツーゴ領に住んでいる時はそう感じなかったが、意外と広いぞ?

 たぶん開墾できなさそうな大きな岩がそこら中にあったせいだな。

 最初の一つを俺が撤去できるのに半年かかったからな。半年だったよな?


 そんな岩がそこら中にあったんだが、ポチ達が魔境からやってきてこの地を徹底的に破壊した時に、こうした大岩すらもなくなってしまったようだ。

 怪我の功名とでも言うのか。


 結局温泉を掘り当てた周囲は、王都と同様温泉施設と白磁器の工房、それに獣舎が出来上がった。

 そして一緒にやってきた元領民の意見を取り入れ、発展するかどうかは分からんが、商売ができるような施設を多く設けた。

 当然ながらクランの拠点や、ギルドの建物になり得る場所も用意したぞ?


 この地が発展してくれたら役立つが、そうでなければ・・・・

 まあ土地はある。

 こうした場所があってもいいよな?


 結果俺がどさくさで作った温泉施設以外にもいくつかの宿、食堂が出来上がった。

 しかし俺は全く予想していなかったんだよ。

 こうした行為が結果的に先行投資?になっていった事を。


 しかも近いうちにこの地にまた・・・・それは今は言うまい。

 道と用水路はしっかり出来上がった。

 住居も万全。

 ちなみに掘り当てたこの温泉、王都よりも湧出量が圧倒的に多く、元領民の家族分の住居全部に使用してもらっても、全く問題ないほど湯が出たんだ。

 だから時間はかかったが、各家庭には源泉のバルブを設置し、温泉風呂に入り放題となった。



 しかもそれにとどまらず、勢い余って元領民分以外の住居を相当数用意してしまった。

 トイレと風呂、そうそうヤーナのお陰で水と火の精霊が各建物に宿ってくれる事になり、水回りとキッチン関連は凄い事になった。

 元々魔境に近かった事もあり、他の領地に比べ強力な魔石が手に入りやすいしな。

 なので魔石は自給自足が出来るだろう。

 何だか最近いくらスキルを使っても魔力が枯渇しないんだよな。


 そしてこの領地に一番必要な農地なのだが、用水路を張り巡らせたから他の領地に比べ相当充実している。

 元々逃げ出した領民の殆どは農民だから・・・・必要だよな?


 こうして至れり尽くせりな状態となったのだが、最後の仕上げに領地と魔境の境目、正確には緩衝地帯があるから、緩衝地帯と領地にはバカ高い壁を設けた。

 その勢いのまま3領をひとまとめに壁で囲った。


 出来上がったのをヤーナと一緒に、天ちゃんに乗って空から見たがやり過ぎた。


 王都の城壁よりも立派になった。







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