第121話 つい勢いで
音に驚いたのか、次々と人が集まってくる。
「クーン、派手にやったなあ。」
「あ、ニールスにい、ちょっと待ってね!土埃が凄いから、回収しているんだ。
あれ?なあヤーナ、これ水の精霊にさあ、雨とか降らせて貰えばよかったんじゃない?」
「今からやってもらう?まだ魔力に余裕があるわよ?アクア辺りでどう?」
「任せるよ!」
「ヤーナ君の精霊はそんな事も出来るのだね。」
実は普段ニールスにいとヤーナは顔を合わせる事が無い。
お互い忙しい身であるし、クランが同じでもパーティーが違うとこうなるのかな?
「あ、
「僕には精霊の善し悪しは分からないけれど、先ほど召喚した火の精霊だけは分かる。あれは素晴らしいね!」
この時俺はインスピレーションを感じた?得た?どう表現をしていいのかわからないが、とにかく天才的な閃きを得たんだ。
ヤーナの精霊って、色々な物に宿る事が出来るんだよな?
じゃあ剣とか盾にも宿る事が出来るんじゃね?
但し問題はある。魔力だ。
魔力が無くなれば精霊は顕在化が出来ない。
まあ物に宿った精霊は、消え去る前に宿った中に戻るだろうけど。
後で試してみよう。
これは後にニールスが生涯使う事になる精霊剣【イフリート】のアイデアだった。
・・・・
・・・
・・
・
「も、もう無理だ!これ以上は限界だからやめてくれ!」
俺はヤーナにギブアップを宣言していた。
「何を言っているのよ!まだまだできるでしょ!さあ!」
最悪である。
何が最悪って?
激マズポーションをたらふく飲まされているのだよ。
誰がどこから調達したのか、魔力を回復させるポーションが目の前にあるのだが、これが信じられない不味さなんだ!
最初はさ、ヤーナが魔力を分けてくれてたんだけどさ、流石にヤーナも魔力が枯渇してしまって、誰かがポーションを持ってきて・・・・誰ってフロリーナなんだけどさ、何故か2種類のポーションを持って来た。
「クーン様、こちらは効果抜群のポーションですのでお渡しします。ヤーナにはこれ、多少効果が落ちるけれど・・・・・・・・・・・・・から。」
最後の方はヤーナにだけ言っていたのか、俺にはよく聞こえなかったが、
「ありがとう!私はこっちを飲むわ!クーンの方は私が飲む方よりも回復量が多いから、我慢して飲みなさいよね!」
よくわからんが飲んだ。吐きそうになった。
くっそう、覚えてやがれよ!但しそのとばっちりは、きっとマースの所に向かうんだが。
フロリーナよ、君も学習したほうがいい。
君のしでかした事は、彼氏であるマースがだな・・・・あいた!
今誰かが俺の頭をはたいた!ってヤーナしかいないか。
「クーン、今下衆い事考えていたでしょ!それしちゃあ駄目な奴だからね!」
口に出さなくてよかった。そしてマースよ、君の危機は事前に防がれた。
俺達が失った魔力を回復させている頃、
俺の壁の攻撃から逃れて・・・・と言うよりも壁の倒れる範囲外に居た魔族を悉く地面に引きずり込んでくれていたのだ。
魔族からしたら、突然今まで立っていた地面に吸い込まれるんだ。恐怖でしかないだろう?
暫くして魔族の指揮をしているような立派な身なりの奴が、
「何故だ!仕方がない、一度引け!」
と言っているのが聞こえた。だがそいつは二度と喋れなくなった。
ヤーナの精霊、火の精霊イフリートと水の精霊ウェンディーネが同時に襲い掛かったからだ。
恐らく一つだけであれば何とか耐えられたのだろうが、火と水が同時に襲い掛かってきて対応できなかったようだ。
大量の水蒸気が気管に入り込み、そのまま悶絶、倒れた所をイフリートがこんがりと・・・・うわ!えげつねえ。
ウェンディーネは周囲に居た他の幹部?魔族を水没させていた。
何やら水槽みたいに囲ってしまい、更には水攻め。
こちらもえげつなさが半端ない。
気が付けば指揮系統は崩壊していた。
いや、何で精霊の攻撃がとどく範囲に指揮官(と思う)がいたんだ?バカじゃないのか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます