第108話 捕獲

「心配する事はありません、さあ陰伏しなさい。」

 蛇のバケモンが数人の冒険者と共に地面に消えていく。

 させないよ。

【何とかしてくれシロ!】

【問題ない。あれ一体であれば容易い。】

 シロを含むわんこ部隊も消え、何やら地面からドカドカ音がするが・・・・

「ぎゃああ!!」


 そう聞こえたと思ったら、少し離れた場所からさっき消えた冒険者達が姿を現した。

 そして、

【我らに適うと思うたか?】

 シロは先ほどの蛇?のバケモンの首を口に咥えていた。

 ペ!しなさい、ペ!

 俺はあの爬虫類の目が苦手なんだ。

【そんな事をしたら逃げるぞ?】

 分かった。好きにしなさい。

 さて、あいつらを拘束するか。

 俺は【土】で一人一人拘束していった。

 12人居た。しかも全員男だ。

 俺達【以一当千】の男は10人だけなんだけど。しかも拘束した冒険者は皆20代に見える。


 この頃にはニールスにい達も集まってくれていた。

 一応冒険者ギルドの人に確認してもらおう。

「全員拘束したので、クランの詐称の罪で取り締まってくれませんか?」

 しかし職員は何故か躊躇している。


「うーん、困るんだよねえ、実際拘束しちゃうとか。」

 何言ってるんだこのおっさん。

「何を言っているのですか?明らかなクランの詐称ですよ!今回はこうして現行犯なのですからしっかりと・・・・」


 フスタさんが何か言っているが、誰も取り合ってくれない。どういう事?

 それにこの街の冒険者ギルドの職員の対応も変だ。

 遠巻きに見ているだけ。

 隣にディーデリック王子がやってきたので聞いてみた。

「こういう時国の対応ってどうなんだ?」

「微妙だな。相手はS級クランだ。私が関わっていなければ適当にごまかしたのではないか?だが今回は運がなかったようだ。さて・・・・どうせ冒険者ギルドとグルなのだろう。仕方がない、少し人数が減ってもいいよな?」

 何それ怖い。

「分かりましたわ、兄さま。さあ【ブラックホール】、口に入れてしまいなさい。」

 あれ?ブラックサンダー、若しくはブラックボルトじゃなかったっけ?

 注:82話参照

「最終的にブラックホールとなりましたの。」


 ビーフシリーズといい、何だろうこのネーミングセンスと固定されない名前。


 するといつの間にやってきていたのか、目の前にはドラゴンが。

【ギャオ――――――――!】

 何やら咆哮?を拘束している連中に放ち、一人を口に咥え、飲み込んでしまった!

 ゴギ!グギャ!という音と共に、

「ぎゃああ!!!!」

 ・・・・その後の静寂。

【さて、次は誰が良い?死にたくなければこの場で喋る事だな。】

 ブラック何某は人を食べたのか?


「ひ、ひいいい!!!!い、言うからこ、殺さないでくれ!お、俺達は【以一当千】じゃない!全員【一騎当千】のメンバーだ!」

「あ、言うんじゃない!」


 既に一人ゲロッた。

【その方は言わぬのであるな?では次は・・・・】

 そう言えば一人指示を出しているのが居たっけな。

「う、や、やめろ!俺を殺せば・・・・ぎゃあ痛い痛い言うからやめてくれええ!!!!」


 ブラック何某容赦ねえな。

 その後全員が真実を喋った。

 そしてブラック何某が、

 ペッ!

 っと何かを吐き出した。

 するとまだ息のある冒険者が現れた。

【回復させるがよかろう。】


 全身ズタボロで血だらけだが、まだ息がある。

「フロリーナ、死なない程度の回復を!」

 完全回復させる必要はないだろう。


「分かりました。では回復させます・・・・」


 フロリーナは2人とも回復させてくれた。

 但し痛みと出血を止めただけで、完全回復には程遠い。

「痛くはないがまだ違和感があるんだよ、回復してくれよう!」

「残念だが、これ以上は王都に戻ってから回復してもらってくれ。」

 俺はそう言ってやった。

「そ、そんなあ!」


 この後ディーデリックとサスキアが主導権を握り、何やら冒険者ギルドの職員に指示を出していた。


 しかし気になるな。

 フスタさん以外の職員の反応、あれが何を意味するのか。

 それにディーデリックの言葉もそうだ。

 つまり冒険者ギルドと【一騎当千】は繋がっているって事か?

 これ、今回は王子であるディーデリックと王女であるサスキアが居たから何とかなったが、そうでなければこのまま闇の中ってか?

 幾らなんでも相手はS級クラン。

 いや問題はそこじゃない。

 S級クランがこんな事をしていいのか?




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る