第74話 いなくなった王子と王女
あれ?そう言えば王子と王女は何処に行った?
「なあヤーナ、王子と王女って、さっきまで其処に居たはずだが、何処に行ったか知らないか?」
トカゲを埋葬(まだ生きています)したクーンだが、周囲に襲ってくる魔物が居なくなった事もあり、この時になって気が付いたのだ。
トカゲを相手に何だかすげえ事をしていた気がするんだが、何処に行ったんだ?もう仕留めて天馬と何処かに行った?
するとヤーナが何か知らんが、穴を指している。
おろ?こんな大きな穴ってあったっけ?
こんな穴があれば、薬草採取の時に危険だよな。埋めておこうか。
「ねえクーン、本気で言っているの?私にはクーンが日を追う毎に、おバカさんになっていくような気がしてならないのよね!どうしてこんな人を好きになっちゃったかなあ!」
ん?ツンデレさんが何気に俺をディスっている!
しかも俺は・・・・おバカになっていたのか?
いやそれは今は置いておこう。
「なあヤーナ、俺は本気でわからないんだ。さっきまでトカゲと戦っていたしさ!王子と王女の行方、知っているのか?」
俺がどうやら本気で聞いているという事を感じたのか、
「聞こえない?その穴の中に二人はいるわよ。」
何でヤーナは冷静なんだ。
俺は恐る恐る中を覗いてみた。
ふ、深い!
底が見えないんだが、井戸か何かか?
俺が見ていると、
「オーイダレカイルカイ?」
「ヤーナイルノデシタラタスケテクダサイナ!」
うん?なんか聞こえた気がする。
「クーン、さっきあの2人が
おお、それは・・・・そう言えば重力系のスキルに感じていたが、魔物の重さを操作したか何かで、魔物は自重で地面に押しつぶされたのか?
それにしても沈み過ぎだろう!
しかしどうすんだこれ?
・・・・
・・・
・・
・
ヤーナに周囲の警戒をしてもらいながら・・・・ヤーナの精霊に、が正確なのだが・・・・俺はこの穴を少しだけ広げつつ、掘り下げていった。
そして梯子のような物を作って、俺は恐る恐る梯子を伝い降りてみた。
一応天ちゃんも降りてくれている。
【大丈夫だというに、心配性だな。】
そうは言っても下が見えないからな。
俺は穴を降りつつ、梯子が無くなればまた梯子を作り、降りていく。
これを暫く繰り返すと、やっとはっきりと声が聞こえるようになった。
「もう少し待ってくれ!今そっちに向かっている!」
「おお!すまないなあ!このでっかい魔物の下敷きになってしまってなあ、まさか最後にひっくり返るとは思わなったのだよ。」
「兄さま仕方が無いのですわ。」
うーん、妹の方は何があっても兄さまラブだな。
所謂ブラコンか。
そしてやっと到達した。
トカゲが腹をこっちに向けてひっくり返っているな。
死んでいるのか?
【まだ生きておるわ小僧。それより魔境を超えた3人を引き合わせてはくれぬか?引き渡しを約束してくれるのであれば攻撃をしないと約束をしようではないか。それに引き渡してくれれば我々は領地へ戻る。生死は問わん。】
また言っているぞ。あれ?でもさっきのとは違う個体だよな?
「魔物とは交渉はしない。死ね!」
俺は攻撃をしようとしたんだが、王子様に止められた。
「待て待て待て!そのまま攻撃したら、僕達が危険になるのだよ。」
「そうですわ!兄さまを傷つける事は許しませんわ。」
さてどうするか?
「おいトカゲ!本当に攻撃しないんだな?」
【・・・・攻撃はしない。約束すると言ったであろう。それと人間、本気で我等をトカゲと思うておるのか?】
「トカゲ以外の何物でもないな!」
【・・・・我等はドラゴンだ。覚えてくとよいぞ異世界人よ。】
「え?何で俺が異世界人と思ったんだ?」
【先ほど我の同族に名乗ったであろう。】
そうだった。
「まあそれは置いておくとして、王子と王女を助けたいんだがどうしたらいいんだ?」
【・・・・お前達、我をここまで追い込んでおいてそれはないだろう。そこの重力操作の子よ、ワシの重力を逆転させればよいのだが、気が付かなかったのか?】
すると王子が慌てたように何かしたのを感じる。
「そんな事が出来るのかい?僕はまだスキルを殆ど使った事が無くってね。」
【試すがいい。】
暫くして・・・・トカゲが、いやドラゴンと言っていたが浮いた!
そして天馬が這い上がってきて、王子と王女が出てきた。
「兄さま流石ですわ!」
思いっきり天然だなこの2人!
この後3人と天馬、そしてドラゴンは無事?穴から這い出たが、ドラゴンは満身創痍、地面に這い出た後はその場に倒れてしまった。
「わ!クーン無事なの?」
「御覧の通り、こうして無事に戻ったぞ。」
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