第63話 実質クランみたいな?
「話は聞いたよ、クランの設立をギルドの受付嬢から提案されたんだってね。」
もしクランを設立する事になれば、実質的に代表はニールスにいなんだけど。
何でこのタイミングなのか分からないんだよ。
「俺達さっきパーティーを登録したばかりなのに、何でクランの話がいきなり出たのかわからないんだよ。」
ニールスにいには何か思う所があったようで、
「このメンバーで色々あったからね。今後もそうだと思うし、それならばいっその事クランを設立すれば、となったのだろうけど、色々問題はあるんだよ。」
クランを設立するには少なくとも3つのパーティー、若しくは13人以上が必要になるそうな。
2つのパーティーだけでは設立できないんだな。
そして拠点が必要。
もし王都でクランを設立するならば、それなりにお金がかかるらしい。
あ、それだったらここで飲み食いをしなければよかった!
クーンは忘れているのだが、商人ギルドでは急ピッチで台車と簡易トイレ及びウォシュレットの製造がなされている。
台車はいくつかバリエーションがあり、特に冒険者の要望が多いのが、トイレを収納できるタイプ。
既に予約が凄い事になっているようだ。
台車は他にリヤカーに近い形状の台車。
従魔が居れば曳かせる事が出来る。
尤もその従魔に合わせた取り付けが必要になるが、そこはオーダーメイドとなるようだ。
これも需要があれば、従魔の種類別のアタッチメントを製作するという力の入れよう。
そしてトイレ。
持ち運ぶ事の出来る簡易トイレは、長旅でも重宝する事になる。
急に便意を催した場合、男はそこいらで・・・・だが女性はそうはいかない。
其処で地面に穴を掘り、持って来た衝立を用意し、便器を組み立て用を足す。
そして極めつけはウォシュレット。
造りは実際単純なのだが、筒と水の境に水分を通さない、柔らかな樹脂を用いる事により、水漏れせずに使う事が出来る。
それに大事な部分を清潔に保つ事が出来る上に持ち運びもコンパクト。
王都では商人ギルドで最優先に作っている事もあり、クーンの元には莫大な金が舞い込む予定なのだが、クーンは商人ギルドに行っていないので知らないのだった。
実際お金の心配が無いのだが、誰一人としてその事に気が付いていないのだった・・・・
【え?ちゃんと調査していますからね、知っていて提案したんですよ?】
後から聞いた受付嬢の話。
・・・・
・・・
・・
・
美味しい食事に皆満足し、解散となった。
だがまだ時間があるな。
どうするか悩むクーン。
商人ギルドに行けばいいのに気が付かない。
だがここで何を思ったのか、
【天】ちゃんに乗ってみよう!
因みに天ちゃんとはクーンが所持する天馬の事。
クーンの身体はまだ子供なので、天馬であれば2人で騎乗する事も可能。
という事で、
「ヤーナ、デートをしよう!」
「え?い、いきなりね!でもデートってどこに行くのよ?」
「それは・・・・空のデートさ!」
「え?まさかと思うけれど、クーンが天ちゃんと呼んでいる天馬に2人で乗るの?」
「それ以外に何があるんだ?」
「は、初めてのデートが、空の上って、クーンなかなかやるわね!」
これが後に新たな問題を引き起こすのだが、デートと言う単語で頭がいっぱいになったヤーナと、早く空を駆けてみたいクーンは、これがどういう影響が出るのか考えてもいなかったのだった。
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